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乾す
「乾す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乾すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、水に近く晃らめいた、揖斐川の流れの裾は、潮を籠めた霧白く、月にも苫を伏せ、蓑を
乾す、繋船の帆柱がすくすくと垣根に近い。そこに燭台を傍にして、火桶に手を懸け、怪....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
中の敵機動部隊もさぞゆられたことじゃろう。 ◯本日地下物置のものをすっかり出して
乾す。昨日の嵐に、大分浸水したからである。これもアメリカのお蔭かと、憤慨しながら....
「地球盗難」より 著者:海野十三
、いっそ死んだ方がましだと思ったからだった。 「ああッ……」 一壜の液体をのみ
乾すと、彼は前にある括りづけの蜜柑箱のように四角な卓子の上に両肘をついてガバと面....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
は敵わぬが、貧乏人の台所なら高が知れておる。それに一通り酒を注いで片っ端から呑み
乾すのだ」 「へえ、それでは、まあ茶碗に皿、小鉢、丼鉢、椀があるとして、親子三人....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
も好意ある方法だ。それで新吉は砂糖を入れ足すのを忘れている甘味の薄い茶を一杯飲み
乾すとこう言った。 ――マダム。僕はね。料理にしますとあまりに巴里の特別料理を食....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
「来し(越し)は夢の夢の夢のまた夢、昨日は今日のはつ昔、旅の衣は鈴鹿の峠を越す(
乾す)も乾さぬも、雨次第じゃが、どうやら、今宵は降りそうじゃな」 と、しんみり....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
の元朝《がんちょう》は、敵味方とも麗かな初日を迎えた。内膳正は屠蘇《とそ》を汲み
乾すと、立ちながら、膳を踏み砕いて、必死の覚悟を示した。 この日は、夜明け方か....
「俊寛」より 著者:菊池寛
気はしない。小屋へ帰ってから、彼は小太刀で腹を割き、腸を去ってから、それを日向へ
乾す。半月ばかり鰻を取っているうちに、小屋の周囲は乾した鰻でいっぱいになる。その....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
だんだん不愉快な表情を示し始めている。若太夫の差した杯を、だまったまま受けて飲み
乾す) 千寿 (藤十郎の不機嫌に気が付いて、やや取りなすように)ほんに、若太夫の....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
二人の舞を振向きもしないで、日頃には似ず、大杯を重ねて四度ばかり、したたかに飲み
乾すと、俄に発して来た酔に、座には得堪えられぬように、つと席を立ちながら、河原に....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た。 「これは何です。」 「鰊乾場であります。これは廊下と申しまして、ここへ鰊を
乾すのであります。」 「この小屋は。」 「これは納壺であります。網や雑具を入れる....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
着の準備です」
奇怪な事を云う者かな、罪人でない者に、罪人と言い聞けるが濡衣を
乾す準備とは真に有られもない言い種である、余「何で其の様な事が準備です」
権田....
「鵞鳥」より 著者:幸田露伴
主客の間にこんな挨拶が交されたが、客は大きな茶碗の番茶をいかにもゆっくりと飲
乾す、その間主人の方を見ていたが、茶碗を下へ置くと、 「君は今日最初辞退をしたネ....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
帳場の前から長い廊下が続いている。左は炊事場であろう竈が築いてある。濡れたものを
乾すように頼んで草鞋を脱ぐと、二階の一室に案内された。どの部屋もがらんと空いてい....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
の寝室も、食堂も、ここで兼ねるのである。早速、焚火にかかって、徒渉に濡れた脚絆を
乾すやら、大鍋を吊して湯を沸かしたりする。 広河内の土地のありさまは、中央日本....