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乾板
「乾板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乾板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鮨」より 著者:岡本かの子
いた。 子供は、小学校はよく出来た。一度読んだり聞いたりしたものは、すぐ判って
乾板のように脳の襞に焼きつけた。子供には学課の容易さがつまらなかった。つまらない....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
り縮めて来た。 復一は半醒半睡の朦朧状態で、仰向けに寝ていた。朦朧とした写真の
乾板色の意識の板面に、真佐子の白い顔が大きく煙る眼だけをつけてぽっかり現れたり、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
跡が印されている、見取図に包まれているのが何であったろうか、意外にもそれが、写真
乾板の破片だったのである。
二、死霊集会の所在
沃化銀板――すでに....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
らない事だ。だがきゃつ、素人で幸いだて」 やがて現像を終えて、定着バットの中へ
乾板を入れると、浅田はのそ/\暗室から出た。 岸本は掃除をすませて、窓際の椅子....
「物理学圏外の物理的現象」より 著者:寺田寅彦
から徐々に垂直に水中へ沈めて行くとこれによく似た模様が現われると言っている。写真
乾板の感光膜をガラスからはがすために特殊の薬液に浸すと膜が伸張して著しいしわがで....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
歩いている図であった。激烈な苦痛がその苦痛とはなんの関係もない同時的印象を記憶の
乾板に焼き付ける放射線のように作用する、という奇妙な現象の一例かもしれない。 ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ラブレーターであろうか。日記帳であろうか。それとも或る種の誓詞であろうか。写真の
乾板でもあろうか。でも以前にはおよそそんなものを、彼女が持っている様子はなかった....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
紙の如く薄いのを有いています、なかなか味のあるものです。私は便利の上から、写真の
乾板の古いものを常に使用します。写真屋とか製版所へ行けば、いくらでも古いものを売....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
んど紙の如く薄いのを用いています。中々味のあるものです。私は便利の上から、写真の
乾板の古いものを、常に使用します。写真屋とか製版所へ行けば、いくらでも古いものを....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
伯林ドロティン・ストラッセ街から来た紳士がいるでしょう? あの肥った、そら、いま
乾板現像液で茶色に染まってる手を出して、他人の賭金を誤魔化してさらえ込もうとして....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とわかりません、漢詩などは、われわれが偶然のすさみに口頭にのぼったやつを、直ぐに
乾板にうつしとって置いて、複製して出すのですが、あのペロペロはどこからどう覚えて....
「海水浴」より 著者:寺田寅彦
怖い思いをしたので、そのときに眼底に宿った海岸と海水浴場の光景がそのままに記憶の
乾板に焼付けられたようになって今日まで残っているものと思われる。 それはとにか....
「ヒロシマの声」より 著者:豊島与志雄
ない。 熱線と共に来る放射線が恐ろしい。広島の赤十字病院には、当時、X光線用の
乾板が鉛のケースに収められて地下室にあったが、それがみな原位置のまま感光していた....
「レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
重ねて焼付けることを試みたらすぐ成効してたいそう嬉しがった。粒の粗い今のゼラチン
乾板ではおそらく不成効であったであろうが、タンニン、蛋白、塩化コロジオンを使う古....
「線香花火」より 著者:中谷宇吉郎
かった光の弱い火花の写真を撮るということが、この頃のように速いパンクロマチックの
乾板の得られなかった当時ではなかなか容易な業ではなかった。到頭夏休み中かかって微....