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「乾枯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乾枯の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
はないかと思われるほど真ッ黄色だった。鼻は細根の乾し蘿蔔を思わせるように、痩せて乾枯らびていた。下眼瞼はだらりと垂れて、刷毛で書いたように、幅の広い黒い隈ができ....
階段」より 著者:海野十三
度には病気で死んだ人が何千万人あって其の内訳はどうだとか言う紙面の上の統計の様に乾枯らびたものではなく、ピチピチ生きている人間を捉えてやる仕事でその観察点も現代....
蠅男」より 著者:海野十三
ったとおり、机の上にポトンと蠅の死骸が一匹、落ちてきた。それはぺちゃんこになった乾枯びた家蠅の死骸だった。そして不思議なことに、翅も六本の足も※りとられ、それば....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
達も船体に寄り添って、東屋氏の指差す線に眼を落した。 なんのことはない。半分|乾枯びかかった茶褐色の泡の羅列が、船縁から平均一|呎ほどの下の処に、船縁に沿って....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
いる。見れば病舎の便所に備えつけた防臭剤のガラス瓶だ。そしてその附近一帯に、もう乾枯びて固くなりかかった赤黒い液体の飛沫が、点々と目につきだした。女中が黄色い声....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
次第に食慾を減じ、女人をして惚々させないではいない有名なる巨躯紅肉が棒鱈のように乾枯らびて行くように感ぜられるに至ったので、遂に彼は一大決心をして、従来の面子を....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
で彼はそれから先きの幾年を諸人の見る前に鬱々と暮らして、あたかも樹木が石だらけの乾枯びた土のなかで静かに枯死するように、生色なく、生気なく、しだいに自分のからだ....
」より 著者:寺田寅彦
あたかもその主宰者たる「時」の仕事をもどかしがっているかのように、あらゆるものを乾枯させ粉砕せんとあせっている。 火鉢には一塊の炭が燃え尽して、柔らかい白い灰....
再度生老人」より 著者:佐左木俊郎
は折々彼の細君と眇の息子とがやって来て泊まって行った。細君というのは、ちいさな、乾枯らびた大根のような感じのする女で、顔中に小さな皺がいっぱいあった。そして右の....
キド効果」より 著者:海野十三
第三図を見直したのだった。 「うふふん。――」 と咳払いをなされた木戸博士は、乾枯らびた色艶のわるい指頭を Fig. 1 に近づけられて扨て仰有った。 「興奮....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
らと飛び出た。 「やっ! 梅干の種だ!」 這うようになおも辺りを見れば、飯粒の乾枯《ひから》びたの、鰹節の破片《かけら》などが、染甕の内外に、些少《すこし》だ....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
である。先輩は「過去」という亡霊が今なお生きていると錯覚して、後輩を失敬にもこの乾枯《ひから》びた枠の中に入れて眺め、さて、自信がないものだから、おしまいには決....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
アンマリ見当|外れでビックリした。仇な年増どころか皺だらけのイイ婆アさんサ。あの乾枯びたシャモの頸のような咽喉からドウしてアンナ艶ッぽい声が出るか、声ばかり聞い....
四十年前」より 著者:内田魯庵
三世が幕府の遣使栗本に兵力を貸そうと提議した顛末を夢物語風に書いたもので、文章は乾枯びていたが月並な翻訳伝記の『経世偉勲』よりも面白く読まれた。『経世偉勲』は実....