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乾漆
「乾漆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乾漆の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
うよりも大磐石にヒビが入って、幾本にも亀裂したように集合して、その継ぎ目は、固い
乾漆の間に、布目を敷いたように劃然としているのが、石油のようにうす紫を含んだ灰色....
「風知草」より 著者:宮本百合子
手法であらわすだろうと思った。一番ふさわしいのは、永年かかって、漆で塗りかためた
乾漆であると思えた。顔全体が赧みがかった茶色で、眦を黒々と、白眼を冴えて鼻は大き....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
tableaux〕 メディユムとしての油 ┤ B└速
乾漆液 工業用薬品店にあります 右二種の油をAを7Bを3位いの割合に混合して使....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
もとにあるところの油絵具を用いて描くことを考えた。それには私はメディアムとして速
乾漆液をそのまま柔らかな日本風の彩色筆に含ませて油絵具をきわめて薄くほとんどお汁....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
いるが、それはずっと後期になって現われた様式であること、それからこの石棺の内部は
乾漆《かんしつ》になっていたこと、そして一めんに朱で塗られてあったと見え、いまで....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
エプリコ)、金銀花(スイカズラ)の花の煎汁をそれぞれ二カデックス(約二合)ずつ。
乾漆(ウルシ)合歓(ネム)の木の樹皮の粉末をパパイヤの乳液で溶いた下熱剤を一ポス....
「回想録」より 著者:高村光太郎
ったから、丸鑿など思いもよらなかったのだろうと思う。私の考では、丸鑿の使い始めは
乾漆像製作の際から起ったのではないかと考える。
乾漆の際、箆でやると谷が丸くなるの....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
これに劣らぬ美の最もいさぎよきものである。 天平盛期となるとまず東大寺三月堂の
乾漆の巨像|不空羂索観音があり、雄偉深遠で、しかも写実の真義を極めている。写実は....
「岡倉先生の思い出」より 著者:和辻哲郎
を見るというべきものである。それもただ銅のみが与え得るような、従って大理石や木や
乾漆などにはとうてい見ることのできないような、特殊な触覚的の美しさである。しかも....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
ときにできたかどうかはわからない。感じから言えばもっと新しい。材料を木に取って、
乾漆では出すことのできないキッパリした感じを出そうとしているのが、その新しい証拠....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
足は竦みがちだった。 「……?」 何だ――。とも訊いてくれないのだ。 まるで
乾漆で出来てるような愚堂の顔から、眼だけが白く、それを憎むかのようにするどく、武....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
天の像でも歩いて出て来たようだった。 眉は植えたものみたいに硬く、色の黒さも、
乾漆の仏像肌を想像させる。――それに、もひとつの特徴は、左の顎のあたりに瘤がある....