乾酪[語句情報] »
乾酪
「乾酪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乾酪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「食魔」より 著者:岡本かの子
物ではない。埃及のカタコンブから掘出した死蝋であるのか、西蔵の洞窟から運び出した
乾酪の屍体であるのか、永くいのちの息吹きを絶った一つの物質である。しかも何やら律....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の皮を剥いだ跡で嚢の潰れぬ程度に扁《ひら》めたようだ。色黄褐で香気は葱《ねぎ》と
乾酪《チーズ》を雑《まじ》えたごとし。だから屁にもちょっと似て居る。秋末、柳や白....
「モスクワ印象記」より 著者:宮本百合子
商人が肩と肩と並べている。新聞雑誌の売店《キオスク》、煙草屋、靴紐と靴クリーム、
乾酪《バタ》屋、三文玩具や、糖菓《コンフェクト》、蜜柑屋《マンダリーン》。 ―....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
してしまうよ。お前さんは消化し切れなかった牛肉の一片かも知れない。芥子の一点か、
乾酪の小片か、生煮えの薯の砕片位のものかも知れないよ。お前さんが何であろうと、お....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
イドに変ず。自己ならびに過去を語るを好み、向上心に乏しく、安逸と独逸風のビールと
乾酪をむさぼる。人を見ると名刺をつき出し、署名を求める癖あり。皮膚赤く、髪白く―....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
。それに、いうところの国民文化の高い国だけに何もかもが智的――智的な牛乳と智的な
乾酪、智的な玉子と智的な――とにかく、ながらく表面から忘れられていた種族が、近代....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
出した。 『わっら! ムシュウ。ほら、あすこに、そばへ寄るときっとラックフォルト
乾酪と酸菜のにおいのしそうな、伯林ドロティン・ストラッセ街から来た紳士がいるでし....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
島の民が死に尽した。またロージル村に夥しく鼠生じて、穀物、牛乳、牛酪《バター》、
乾酪《チーズ》口当り次第平らげたので、住民途方に暮れ猫を多く育てたが、猫一疋に鼠....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
衛歩兵の桝型帽、それもずいぶんの桝目のもの★のような、あるいは大きなスティルトン
乾酪★のような、実に驚くべき帽子をかぶっているということを、ロリー氏があわててい....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
大商賈《おおどこ》の主人とも見える人体《じんてい》が四人、ゆったりと椅子にかけ、
乾酪《チーズ》を肴に葡萄酒の杯をあげている。 ちょっと見には、くすんだくらいの....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
イタニックのSOSを把握《キャッチ》して、何の事はなかったのである。 ナイフが
乾酪《チイズ》を切るように、氷山はタイタニックの船底を裂いたのだ。一蝕で六区画の....
「昆虫図」より 著者:久生十蘭
五日ほどののち、団六のところで将棋をさしながら、青木が、フト畳の上を見ると、
乾酪《チーズ》の中で見かけるあの小さな虫が、花粉でもこぼしたように、そこらいちめ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
けうかがえば結構でごわす」といい放った。タヌは進み出て、コニャックを注ぎ、腸詰、
乾酪の類を持ち出してところ狭いまでに並べながら、 「まったく、一生でも住みたいく....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ならぬ者は一人もございませぬ。懇意な人たちが餞別であるといって蕎麦、パン、マル、
乾酪、乾桃、中にはカタと銀貨をくれた者も四、五名ございました。その日の午後三時頃....
「それから」より 著者:夏目漱石
、その底には微塵《みじん》の如《ごと》き本体の分らぬものが無数に押し合っていた。
乾酪《チーズ》の中で、いくら虫が動いても、
乾酪が元の位置にある間は、気が付かない....