乾魚[語句情報] » 乾魚

「乾魚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乾魚の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西湖の屍人」より 著者:海野十三
憔悴していた。皮膚には一滴の血の気もなく下瞼がブクリと膨れて垂れ下り、大きな眼は乾魚のように光を失っていた。 「きみは、おおお面白いことを云う」帆村が口のあたり....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
味の襲撃じゃないか」 みると、そこを横切ってゆく数台の橇がみえる。来た、来た。乾魚や海象の肉をつめた箱を小楯に、一同は銃をかまえ円形をつくったのである。と、ど....
十二支考」より 著者:南方熊楠
棟造りを建つるに、烟出《けむりだ》しの広さ八畳敷、これに和布《わかめ》、ヒジキ、乾魚《ひうお》などを貯え、凶歳に村民を救うた。その大厦《たいか》の天井裏で毎夜踊....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ろどろのお粥《かゆ》が出ます。これにはみんなバタがつくのでございます。日曜には、乾魚とお粥がスープにつくことになっております。神聖週間には、月曜から土曜の晩まで....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
・サウンドに滞在していた間に、冬の寒さが長く続き厳しかったので、飢饉が発生した。乾魚の貯えはなくなってしまい、そして新しい魚はどんなものも取れなかった。従って土....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
二人を森の中に待たせて置いて、再びどこかへ食い物を探しに行ったが、今度は握り飯に乾魚のあぶったのを取り添えて持って来た。こうして、ここで午飯を食って、三人はまた....
棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
ょうか? 珍しい人が訪ねてくれたというので、父も母も大喜びで帰る時には、苺、茶、乾魚といったような土地の名物を持たせてやりましたが、やがて先方からも、大村の名産....
三国志」より 著者:吉川英治
れからも連日、苛責はかれに加えられたが、吉平はひと口も開かなかった。ただ次第に、乾魚のように肉体が枯れてゆくのが目に見えて来るだけである。 「策を変えよう」 ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
されてあったが、この先も、はたして無事をゆるすかどうか。 ともあれ帝以下、その乾魚臭い親船の底におちつかれたときは、ただ祈る以外の雑念はなにもなかったにちがい....