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亀の甲
「亀の甲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亀の甲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ろまん灯籠」より 著者:太宰治
った高峯の根雪、きらと光って消えかけた一瞬まえの笹の葉の霜《しも》、一万年生きた
亀の甲、月光の中で一粒ずつ拾い集めた砂金、竜の鱗《うろこ》、生れて一度も日光に当....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
います。 文「立派な胴乱だ」 亥「胴乱でごぜいますか」 文「これは高麗国の
亀の甲だというが、類《たぐ》い稀なる物……これは名作だ、結構な物、どうしてこれを....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
の習慣《ならわし》でむき出しにしていた。そして何よりさきに眼に映ったのは、まるで
亀の甲羅《こうら》みたいに厚くて堅い、妙に形の変化した爪のある、アカーキイ・アカ....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
店の方を覗《のぞ》くと、八ツ目鰻《めうなぎ》の干したのも釣るしてなければ、大きな
亀の甲も飾ってないし、人形の腹をがらん胴にして、五色の五臓を外から見えるように、....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
たしかな記憶をそのまま写したものである。ただ語声だけはどうしようもない。―― 「
亀の甲より年の功と云うことがあるだろう。こんな賤《いや》しい商売はしているが、ま....
「門」より 著者:夏目漱石
っとう》と名のつくほどのものは、一つもないようであった。ひとり何とも知れぬ大きな
亀の甲《こう》が、真向《まむこう》に釣るしてあって、その下から長い黄ばんだ払子《....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
行の便船が出るのを待っていた。男は真綿帽子を冠り、藁靴を穿き、女は紺色染の真綿を
亀の甲のように背中に負って家の内でも手拭を冠る。それがこの辺で眼につく風俗だ。休....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
へ行く事は明朝までお待ち、此の遺書の事を心得てこれを反故にしてはならんぜ」 と
亀の甲より年の功、流石老巧の親身の意見に孝助はかえす言葉もありませんで、口惜がり....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
れがなかなかの別嬪で、とてもお前のようなもの足元へも寄れん。お前の手を見てみい、
亀の甲みたいやないか、そんなものを嫁にもらえるかい、といったそうだ。 彼女は自....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
てくださいますか」 私はまだはっきりと口がきけないので、黙ってうなずくと、女は
亀の甲でこしらえた櫛をわたしに渡して、小声で言いました。 「わたしの髪を梳いてく....
「狼疾記」より 著者:中島敦
トだけは揃えてあるのだが、今更かけて見よう気もしない。小笠原の旅から持帰った大海
亀の甲羅ももはや旅への誘いを囁《ささや》かない。壁際の書棚には、彼の修めた学課と....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
たなかったガラクタだなんて、その人知らないわね。おもしろいじゃないの」 亮作は
亀の甲から首をだす。 「人間には夢が必要だ。夢を持たなきゃ生きられない。三文の値....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
るのですが、その鰹節や醤油は上品を選ぶのでした。 大きくて見事な茄子のある時は
亀の甲焼にします。これは巾著などというのでは出来ません。まず縦に二つ割にして、中....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
るいは茶を飲みに行く。その間は自分の舎の前の日当りのよい所に裸体になって、背中を
亀の甲のように乾して居る。そうして羊の毛織りの端くれで鼻汁をかんで、その鼻汁をか....
「神仙河野久」より 著者:田中貢太郎
を教えてくれた。神仙は銀製の長さ二寸ばかりあるトッコンと云う楽器、水晶で造らえた
亀の甲の形をした一寸五分ばかりのもの、鉄扇、剣の四種の品をくれた。神仙は尊に向っ....