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「予防線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

予防線の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二百十日」より 著者:夏目漱石
起きるが山へかかってから、あんなに早く歩行《ある》いちゃ、御免だ」と碌さんはすぐ予防線を張った。 「ともかくも六時に起きて……」 「六時に起きる?」 「六時に起....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
のかんかんは一度や二度で済まないんだから難渋《なんじゅう》するよ」と今度は迷亭が予防線を張った。 「いえ、今度のかんかんは、ほんの通り一返のかんかんですから、別....
創作家の態度」より 著者:夏目漱石
の冒頭に自分の過去の経験も非我の経験と見傚《みな》す事ができると云ってあらかじめ予防線を張っておきました。刻下の感じこそ、我の所有で、また我一人の所有であります....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は、よけいなお節介《せっかい》が飛び出さんとも限らぬ、この札を立てて、あらかじめ予防線を引いて、一方が一方を片附けるか、双方ともに仆《たお》れるかまで、無名の師....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、少しは気味が悪いと見えます。それだから自分はまだこの刀を見ていないのだという予防線を張って用心をしておきました。そう言っておけば万々が一、この刀がそれほどの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
脱いだのは、この怖るべきお喋《しゃべ》りの洪水にかかっては受けきれないからしての予防線ではないのです。事実、米友は、弁信の見えざる世界を見、聞えざる音声を聞くこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
し上げないことに、きめてしまいました」 何も尋ねられない先に、弁信はこういって予防線を張ってしまったのは、尋ねられないまでも、その先、その先をいってしまいたが....
反抗」より 著者:豊島与志雄
と、自棄になってるのか、惚気《のろけ》てるのか、諦めをつけてるのか、それとも内々予防線を張ってるのか、訳が分らないやね。その頃僕達はよくあの家へ行ってたものなん....
貞操問答」より 著者:菊池寛
うにお考えになってはいやですわ。」と、新子は云った。 木賀は、新子の慎みぶかい予防線に、感心しながら肯いた。 新子は、自分が準之助氏から、ある危険を感ずるよ....
水鬼」より 著者:岡本綺堂
うぐらいのことであるから、その近状についてはなんにも知らないと、あらかじめ一種の予防線を張っておいた。 「今夜もこれから市野君のところへ行くんですか。」と、僕は....
光は影を」より 著者:岸田国士
あらまし買つたつて間に合うんだからね。そんなに一生懸命にやる必要ないよ」 「まず予防線を張つておいて……。そうよ、お百姓は無理よ。青いものが少し取れゝば、畑はそ....
いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
そ、病的で横暴な自尊心を満足させる唯一の逃げ道なのである。「先き廻り」であり、「予防線」である。 意気昂然たる「卑下」と、内心得意な「反省」とは、かくて、われ....
監獄部屋」より 著者:羽志主水
平均三ヶ月てんだ、晩《おそ》かれ早かれで同じ事だ」 「然しあんなに駄目を押して、予防線《くぎ》をさすッてエなア何様《どう》せ例《いつ》もの洞喝《おどかし》だろう....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
で、言い渡された一同は委細心得て引き退がった。師冬は先ずこうして塩冶退治に対する予防線を張ったのであるが、その後二日ばかりは何の異変もないらしいので、彼も少しく....