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事とて
「事とて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事とての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
らだら坂を東照宮《とうしょうぐう》のほうまで散歩するような事もあった。冬の夕方の
事とて人通りはまれで二人がさまよう道としてはこの上もなかった。葉子はたまたま行き....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
をヒン曲げて詮議に及んだが、誰も責任者は出て来ない。元来|呑気《のんき》な連中の
事とて、発車時間表もよくは調べず、誰言うとなく十時に極《き》めておったのだ、とに....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
自身が来世の開始者であるの聖言に遵いて立ち、之に反きて倒れるのである、人生の重大
事とて之に勝る者はない、イエスを信ずる乎信ぜざる乎、彼の言辞に遵うか遵わざる乎、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
るで、赤ペンキを、一面に、なすりつけたような恐ろしい色彩だったが、暗黒の中の出来
事とて、それに気のつく者が無かったのは、不幸中の幸だった。もしその血の池から匍い....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
部頂戴してののちに願いたいものじゃが」 金博士は残念そうにいう。 「いや、事が
事とて、ぐずぐずして居れないのです」 と、総指揮官ゴンゴラ大将は、かまわず話を....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
苦しゅうなりましたに、貴女、その時、フトお思いつきなされまして、いやとよ、一段の
事とて、のう。 御|妙齢なが見得もなし。世帯崩しに、はらはらとお急ぎなされ、そ....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
一、尾彦楼の寮に住む三人のこと 並びに老遊女二つの雛段を飾ること なんにしろ明治四十一年の
事とて、その頃は、当今の接庇雑踏とは異なり、入谷田圃にも、何処かもの鄙びた土堤の....
「黄金の腕環」より 著者:押川春浪
高い。 頃は十二月三十一日の夜、明日はお正月と云う前晩だが、何不自由なき貴族の
事とて、年の暮にテンテコ舞する様な事は無い、一家は数日以前から此別荘に来て、今宵....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
ツはない 薄着の俺は又も風邪ひく 炭もなく石油さえなく米もなく なって了ったが仕
事とてない 食う物も金もないのにくよ/\するな 俺の心はのん気なものだ 鰊場の雇....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
合い、大きな奴がバーナードを押しつけた。不正な事の少しも辛棒できないファラデーの
事とて、とうとう喧嘩になりかけた。 この頃ファラデーの道楽は、自転車のようなベ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
。其附近に名代の魔者がいた。生縄のお鉄という女侠客がそれなのだ。 素より田舎の
事とて泥臭いのは勿論だが、兎に角常陸から下総、利根川を股に掛けての縄張りで、乾漢....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
蒔の若者達を、極悪の敵と呪わずにはいられなかった。けれどもどこの誰やら暗闇の出来
事とて、もとより知れようはずがなかった。 復讐、それは誰に向って遂げようもない....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
も立ってくれれば結構だくらいの意味において、何分翌月の雑誌に載らねばならぬ火急の
事とて、推敲を加うるの暇だもなく、取りあえず書きっ放しの一夜漬けのままで、厚顔に....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
危ない話で私が死ぬべきところを助かった事ですからここに述べて置きます。私は出家の
事とて一切到処皆帰道場という考えでこの宿屋でたびたび説法をしました。ところが宿の....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
いている窓のすぐ下の祭壇にかしずきながら、聖なる勤行に余念もないのだった。王の仕
事とてもやはり聖なるものであった。神聖相続権は彼の血のなかにある。彼の父シャルル....