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事もなし
「事もなし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事もなしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
その上|拗《す》ねた子供のように、睫毛《まつげ》の長い眼を伏せると、別に何と云う
事もなしに、桃色の手紙を破り出した。男はちょいと苦《にが》い顔をした。が、気まず....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
に寄り付きません。新吉もお累が死んで仕舞った後《あと》は、三藏から内所で金を送る
事もなし、別に見当《みあて》がないから宿替《やどがえ》をしようと、欲しがる人に悉....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いとも限らないと、文字春はそれがためにまた余計な苦労を増した。併しその後も別に何
事もなしに過ぎて、今年ももう師走のはじめになった。底寒い日が幾日もつづいて、時々....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出て来た。ふだんから師匠のあまり厳しいのを苦にしているお貞は、とにかく仲裁して何
事もなしに済ませたが、清書の不出来で叱られた上に、更に又こんな事件が出来して、お....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あった。かれらの多くは兄の屋敷に厄介になって、大小を横たえた一人前の男がなんの仕
事もなしに日を暮らしているという、一面から見れば頗る呑気らしい、また一面から見れ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
。それで、だん/\に阿部さんの気も落ちつく。例の置いてけえも聞えなくなる。先ず何
事もなしに済んだということです。お幾は初めに櫛を貰って、一旦は自分の針箱の上にの....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
な色をして、しかも三本足であった。 それが例の青蛙であることを知っていたら、何
事もなしに済んだかも知れなかったが、張訓は武人で、青蛙神も金華将軍もなんにも知ら....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
とかなんとか云う訳にもいかんね」 「犯人隠匿と云う訳にも行かんし、営業違反と云う
事もなし、全く困るね」 「世間ではよくこうした場合に、徒に口実を拵えて良民を拘引....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
も不挨拶をするゆえ来にくゝなり、何うも都合が悪いと見えて、茶屋小屋から口を掛ける
事もなし、此の頃では打絶えて逢いませんので、美代吉も気を揉んで居る処へ身請の話に....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
も一つになると騒ぐので、私も吉崎様へ済まねえから彼の野郎は懲しましたが、外に悪い
事もなし、又小兼も足掛二年|彼の野郎を立すごしにしたというは、芸者に似合わねえ感....
「河霧」より 著者:国木田独歩
まりに老いぼれたのに。人々は祝った、その無事であッたを。人々は気の毒に思った、何
事もなし得ないで零落れて帰ったのを。そして笑った、そして泣いた、そして言葉を尽く....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
ら、進み寄って声をかけた。 「おい。そこで何をしているのだ。」 相手はなんの返
事もなしに、摺りぬけて立去ろうとするらしいので、わたしは追いかけて、その行く手に....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
系は、彼の死とともに絶えたのですが、それを再び、栄光のうちに蘇らせようとしても何
事もなし得ず、今や戦史と系譜の覇者は、二つながらに埋もれゆこうとしているのです」....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、いえ、私にも分りません、不思議なことには、久いあいだ、ついぞまだ一所におよった
事もなし。 (夏ちゃん、) と洒落におっしゃったり、お真面目な時も、 (勝山さ....
「御堀端三題」より 著者:岡本綺堂
倒れた上を馬車が真直に通過したのみならず、馬の蹄も私を踏まずに飛び越えたので、何
事もなしに済んだのである。奇蹟的というほどではないかも知れないが、私は我ながら不....