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事も無げ
「事も無げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事も無げの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「男女同権」より 著者:太宰治
でいますと、やがて父がその犬の泣き声を聞きとがめて、母に尋ねました。その時、母は
事も無げにこう答えました。これが犬の子を持って来て、すぐに飽《あ》いたのでしょう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ねないほど軽蔑していら。母様の口ぶりが、」 とややその調子が強くなったが、急に
事も無げな串戯口、 「ええ、隊長、ちと謹んでくれないか。」 「母様の来ている内は....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
移動の準備は、金の事だけでも生やさしいものではなかった。それを逸作は油断なく而も
事も無げに取計いつつあった。 「いつ行かれるか判らないけれど、ともかくそのための....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
の涙の意味がすぐにわかった。お隣りの越後獅子の摩擦をしていたキントトが、その時、
事も無げに僕に教えたのだ。 「叱られたのよ。あんまり調子に乗って騒ぐので、ゆうべ....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
た。厚い雲がのびたと見るまに雨は野面をたたきつけて来た。
「夕立ちでござろう」と
事も無げに云う阿賀妻であった。
「溶けて流れる気遣いはあるまい」
体力に自信の....
「白くれない」より 著者:夢野久作
て血潮にまみれたる障子と板の間を引き剥がし、裏口を流るゝ谷川へ片端より投込む体、
事も無げなる其面もち。白痴か狂人かと疑はれ、無気味にも亦恐ろしゝ。 かゝる間に....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、継母じゃあないの。え、継母は居ないのかい。」 憂慮しければぞ問いたる。小親は
事も無げに、 「私には何にもないよ。ただね、親方が有るの。」 「そう、じゃあ可い....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
げた。 「どこからです、」 「え、」と滝太郎は言淀んで、面の色が動いたが、やがて
事も無げに、 「何、そりゃ、ちゃんと心得てら。でも、あの余計にゃあ無いもんだ。こ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
に、しんみりと涙が籠る。 「どうも、」 とばかりで、小松原は額を圧えた。医師は
事も無げに、 「聞いたのは構わんよ、沢山泣いて上げろ。だが、そこらへ溢しちゃ不可....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
今の口語なら、「お前」ぐらいになる。この歌もなかなか複雑している内容だが、それを
事も無げに詠み了せているのは、大体そのころの男女の会話に近いものであったためでも....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
、一人の乞食が感嘆したように云うと、 「あれなどは小供だましさ」と撞木杖の武士は
事も無げに、 「足が満足であった頃には、五人であろうと、十人であろうと、撫斬りに....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
男の敬作(そうそう、あの頃はそういう名の男が居たっけ。)は、 「糞づまりでさ」と
事も無げに云った。彼は、自分の無分別のために飛んだ気の毒な事をしてしまったものだ....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
が寝て居ります」 「附近の百姓が労働に疲労れ、辻堂で昼寝をしているのさ」徳善院は
事も無げに云った。 「足をごらんなさりませ」 「人間の足だ、異ったこともない」 ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
婦人だという格言がある、何、訳はありません。近い内にきっと罪人を出しましょう。と
事も無げに謂う顔を警部は見遣りて、「君、鰒でも食って死よったのかも知れんが。何も....