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事を欠く
「事を欠く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事を欠くの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
伝馬もその必要なく、今に十三人十三匹の人馬を各宿場に用意すればそれでも交通輸送に
事を欠くまいというのが、福島総管所の方針であるらしいことなぞを父に告げた。 「ま....
「若い婦人のための書棚」より 著者:宮本百合子
すてろと医者に宣告された。絶えず病気で、非常に貧しく、ときどきその日のパンにさえ
事を欠く彼女は「自分の苦難を少しでも忘れるため、自分の孤独を慰めるため、自分自身....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
複雑なる運算によって答に必要なものを吸収するが、頭の悪い作家は、あるいは基礎的工
事を欠く処の作家は、必要なものまでも捨ててしまい、捨つるべきものを拾って見たり、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
中並びに人馬の喧噪からは相当隔離されているし、そうかといって、煙塵を絶ち、米塩に
事を欠くほどに浮世離れはしていないのですから、かりそめの閑者を扱うためには甚だ便....
「曠野」より 著者:堀辰雄
てくる菓子や食物などを持って来てくれた。しかしこの頃はもう女にはその日のことにも
事を欠くことが多くなり出していた。――それでもなお女はそこを離れずに、何物かを待....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
の道を得たれば、仮令《たとい》今よりこの家を逐《お》わるるとも、糊口《ここう》に
事を欠くべしとは覚えず。されど願うは、ただこのままに永《なが》く膝下《しっか》に....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
れてしまった。試合の最中しないを下ろし、ちょっくら待てという型はない。無作法にも
事を欠く、うんざりせざるを得なかった。 「何か用か、早くいえ」 「あのお前様の位....
「魔都」より 著者:久生十蘭
をいい給うな。新聞社を押えたって、印刷所はどこにでもある。号外を出すことぐらいに
事を欠くものか、何を莫迦な」
どうする、どうすると、さながら娘義太夫《たれぎだ....
「遍路」より 著者:斎藤茂吉
っていた。遍路の話を聴くに、もとは大阪の職人であった。相当に腕が利いたので暮しに
事を欠くということがなかったのだが、ふと眼を患って殆ど失明するまでになった。そこ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
多くが武者修行の道をとるのだ。武者修行をして歩けば今の社会では到るところで衣食に
事を欠くことはない。田夫野人でも武術には関心をもっているからだ。寺院へ頼っても渡....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
給わりたい」 「虫のいいことを。さような悪例をひらいては、よその領主への徴税にも
事を欠く。よろしい、世良田のお館でできぬなら、直接、われらの手で当地の庄家(庄屋....