事務服[語句情報] »
事務服
「事務服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事務服の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「出世」より 著者:菊池寛
りつく島もないように、冷淡に真面目に見える閲覧室の構造や、司書係たちのセピア色の
事務服などが頭に浮んだ。その人たちの顔も、たいていは空《そら》で思い浮べることが....
「東京だより」より 著者:太宰治
変っていません。やや面長の、浅黒い顔です。服装も変っていません。みんなと同じ黒い
事務服です。髪の形も変っていません。どこも、何も、変っていません。それでいて、そ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
一人で、二階の広い重役室で新聞を読んでいた。
「お早うございます。」
「ヤア!」
事務服に着かえながら、ペンやインキを机から出していると、
「ここの扇風器をかけて....
「一本の花」より 著者:宮本百合子
ょうか」 むっくりした片手で小さい算盤《そろばん》の端を押え、膨《ふく》らんだ
事務服の胸を顎で押えるようにし、何か勘定している矢崎は、聞えないのか返事をしなか....
「舗道」より 著者:宮本百合子
かい重い空気が急にしまりなくなって、セカセカかき立てられた。 ミサ子は紫っぽい
事務服を着てタイプライタアをうっている。かわり番こにワイシャツにチョッキ姿の社員....
「刻々」より 著者:宮本百合子
獲得し、婦人従業員の有給生理休暇要求は拒絶されて女子の賜暇を男子と同じによこせ、
事務服の夏二枚冬一枚の支給、その他を貫徹した。白鉢巻姿の、決意に燃える婦人争議員....
「道づれ」より 著者:宮本百合子
眺めていた。 向いあって売場のある下着類のところから、同じように水色メリンスの
事務服をきた時江が、その様子を見てこっちへやって来た。 「ね、幸子さんのところ、....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
――先のムックリ図々しく持ち上った靴などを鳴らしていられなかった。店でくれる黒い
事務服の古くなったのを、彼は外出しないときは着ることにしていた。僅かの時間を出来....
「列のこころ」より 著者:宮本百合子
集に目を向けるでもなく、若い女事務員が小さい組になって散歩している。水色の交織の
事務服が大きすぎるので深い肩揚げのついたのを着た娘さんたちも歩いている。 そこ....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
を下目に見おろしていることである、それと向かいあって栄養不良のような小娘が浅黄の
事務服を着てきわめてひややかに切符を受けとる。光一はそれをがまんしなければならな....
「図書館」より 著者:宮本百合子
いる。そこで閲覧料を十銭だせ、と書いてある。十銭ですか、特別も? 黒い毛ジュスの
事務服を着た中爺さんは、首だけで合点して、そう、と答えた。この役人風な調子も、や....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
に、フラフラ音もさせずに降っていた。活動常設館の前に来たとき入口のボックスに青い
事務服を着た札売の女が往来をぼんやり見ていた。龍介はちょっと活動写真はどうだろう....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
店員のそれ、喫茶店の女給のそれ、其他、個々のオフィス・ガールのそれなど、各職場の
事務服としての洋装は、大抵、既にしっくりと彼女等の身についているし、必要なもので....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
髪の毛でもありはしない、硝子のピカピカ光っている面を一寸覗いて御覧下さい。水色の
事務服と浴衣が、バックと役者がピッタリしないように、何とまあおどけた厭な姿……。....