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事務的
「事務的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事務的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
《ひ》きつけている説明者の新田が羨しかった。が、二人に対する新田の態度はほとんど
事務的とも形容すべき、甚だ冷静なものだった。同時にまた縞の背広に地味な襟飾《ネク....
「鮨」より 著者:岡本かの子
な事はなかったが、気持ちはめいめい独立していた。ただ生きて行くことの必要上から、
事務的よりも、もう少し本能に喰い込んだ協調やらいたわり方を暗黙のうちに交換して、....
「赤外線男」より 著者:海野十三
を持ってはいないが、研究所内では有名の人物である。専攻しているのは光学であるが、
事務的手腕もあるというので、この方の人材乏しい研究所の会計方面も見ているという働....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
り一足先に、クリーム色の派手なクーペが通ったでしょう?」 「通りました」出札係が
事務的に答えた。 「どんな男でした? 乗ってたのは……」 「見えませんでした」 ....
「あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
きりなんです。ところが、この官選弁護士ってのが、そう云っちゃアなんですが、ひどく
事務的でしてね、どうも、洗濯屋の立場が危っかしくなって来たんです。 ところが…....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
電が、ようやく十日ほど経って来て、復一はやっと安心した。 鼎造から金魚に関する
事務的の命令やら照会やらが復一へ頻々と来だした。 復一が、こういう災害の時期に....
「河明り」より 著者:岡本かの子
さえ泛べ、最上の力で意志を撓め出すように云った。 「私のそれからの男優りのような
事務的生活が始まりました。その間二三度その男は帰って来ましたが、何とも云わずに酒....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あろうか。検事はなかば呆れ顔に反問した。
「兜が取り換えられているんだ」と法水は
事務的な口調で、「向う側にあるのは全部|吊具足(宙吊りにしたもの)だが、二番目の....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ないかという惧れもあった。彼女は手紙の文体を新吉の返事に似通わせてだん/\冷たく
事務的にすることに努めた。新吉もその方を悦んで兎も角彼女の手紙に一通り目を通すこ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人だ!」と呻く様に朔郎が嘆息した。然しながら、法水にとっては、その真相も、一つの
事務的な整理に過ぎなかったのであった。 「所が、それが線香花火なんだよ。厨川君は....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
モニコ酒場でウィスキーやカクテルの話をするくらいにしか考えていない人間たち特有の
事務的の口調で、僕は言った。 給仕は僕の旅行鞄と外套と、それから毛布を受け取っ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
を擦り始めた。 「すると、それは何時頃ですか」 法水はその横顔をチラリと見て、
事務的な訊き方をした。 「僕は円錐形の影が、一体何処を指していたか、知りたいので....
「唇草」より 著者:岡本かの子
派の文学青年のように憧憬的に少ない口数を利いたこの青年が家庭に来てくれてからは、
事務的にも経済的にも驚くべき才能を発揮して、ほとんど一人で家事やこどもの世話まで....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
国太郎は相手があまりに身分に不似合な問いを平気で訊ねるのに引込まれ、彼も極めて
事務的に答える。 ――左様、一円もあればいいでしょう」 ――はあ、一円。こり....
「読むうちに思ったこと」より 著者:小川未明
えなかったことになるばかりでなく、徒らに、読者をして、焦燥に悶えしめるものです。
事務的に書かれたものに、よくこうした書物があります。それには、いろ/\原因のある....