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事欠く
「事欠く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
事欠くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
つか》巻きしても、雀弓《すずめゆみ》の矢を矧《は》いでも、親子ふたりの口すぎには
事欠くまい。はは、今すこしの辛抱じゃ」 「あい」 柿のこずえには大きい鴉が狡猾....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
るとしても、老年の彼以上にも適当な批判を下しうるだけの、近代人相応の感覚や情操に
事欠くこともあるまい――と、そう明瞭には考えなかったにしても、少なくもそういった....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
は肉親よりも先ず友人達のことを考えた。)への忘恩でもある。それ故、私は、食事にも
事欠くような日々の中で、歯を喰縛りながら、「パヴィリヨン・オン・ザ・リンクス」を....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
すから全く困りきって居ります。何分収入が丸っきりありませんものですから薬代にさえ
事欠くような仕末で、到底またお願いにも上れない身ですが、どんな役目もいといません....
「必要以上のもの」より 著者:豊島与志雄
劣さをやめて、必要以上のものに奉仕しなければならないし、吾々は必要なものにも多く
事欠く現代に於てさえ、必要なものを蔑視して、あらゆる欲望を燃え立たせるがよいと、そう信ずるのである。....
「ヒロシマの声」より 著者:豊島与志雄
理想がいつ実現されることであろうか。原爆被害の物的資料の保存にさえ、安全な建物に
事欠く現状である。平和記念館を建て、爆心地付近や城趾の荒野に大公園を設け、橋梁を....
「帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
、永遠不変の実相なのである。電車が有りあまれば、押せといっても押しはせぬ。物資に
事欠くことがなければ、何者が盗むであろうか。昔からそうである。戦争のせいではない....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
平均して強い。平均的なのがいつでもそろっている。つまりドングリ名人の十人十五人に
事欠くことがない。ただ一人の名投手が現われればいつでも甲子園へ行けるだけの実力は....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
をつづけていられたが、それを過ぎるといよいよ没落の時期が来た。露命をつなぐにさえ
事欠くようになったのである。有志の人々が世話をして、毎日わずかばかりの米を出し合....
「もう軍備はいらない」より 著者:坂口安吾
、五反百姓に十八人も子供がいるような日本。天然資源的に見れば取り代えるオシメにも
事欠く程度の素寒貧だし、持てる五反の畑も人里はなれて山のテッペンに近いような、も....
「人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
生に害があるとは私には考えられないのである。ただ、亭主が酒をのむために生活費にも
事欠くというような例は多いかも知れない。しかし、それが酒だけの罪であるか、どうか....
「おびとき」より 著者:犬田卯
洪水と、絶えざる降雨のために、田も畑も殆んど無収穫で、三人の子供らの学用品にさえ
事欠くこの頃では、お義理のためにただ捨てる(実際、そう思われた)金など、一文も彼....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
が多かった。せっかくあてにして待っていても、ついに風呂の水はおろか、炊事の水にも
事欠くことがしばしばだった。この辺の農村生活に不馴れな妻は、その度ごとに不如意が....
「持ち味を生かす」より 著者:北大路魯山人
る。家畜のように宛てがわれた食物を無条件に鵜呑みでは、臓器栄養部では充分の能動に
事欠くであろう。好むものを食って楽しみ、好みの栄養を摂ってこそ、個性は生かされる....
「雪の障子」より 著者:島崎藤村
めずらしいものが降った。旧冬十一月からことしの正月末へかけて、こんな冬季の乾燥が続きに続いたら、今に飲料水にも
事欠くであろうと言われ、雨一滴来ない庭の土は灰の塊のごとく、草木もほとほと枯れ死....