事足る[語句情報] » 事足る

「事足る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

事足るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
間の常態なるを忘れて、赤裸にすべての権能を附与せんと試みる。十分《じゅうぶん》で事足るべきを、十二分《じゅうにぶん》にも、十五分《じゅうごぶん》にも、どこまでも....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ある。神経性胃弱なる主人の頭を潰《つぶ》すくらいは容易に出来る。砲手はこれだけで事足るのだが、その周囲附近には弥次馬《やじうま》兼援兵が雲霞《うんか》のごとく付....
野分」より 著者:夏目漱石
立てば先覚者にもなる。校舎に入れば教師に違いない。さるを単に人と呼ぶ。人と呼んで事足るほどの世間なら単純である。妻君は常にこの単純な世界に住んでいる。妻君の世界....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
事々しく云へども、前に云へる如く、六経を読破したる上にては、論語、老子の二書にて事足るなり。其中にも過猶不及を身行の要とし、無為不言を心術の掟となす。此二書をさ....
十二支考」より 著者:南方熊楠
あるは上に引いた。して見ると、馬と驢のほかにも、随分物になる種もあるに、馬と驢で事足る上はとて、別段力をその馴養に竭《つく》さなんだので、その上野驢や花驢《しま....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ものが必要であると考えて来ました。ところで、母の手助けをするには、女中を置いても事足ることではあるが、女中といってもお大層であり、また親身になって母に尽くすには....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
倒を見る暇もなくなりましたことで、弟子のまた弟子が出来て、子弟の面倒はその方でも事足る時代ともなったので、ひとまず一段落着いたのでありました。 しかし、それで....
食道楽」より 著者:村井弦斎
。百人二百人の賓客《ひんかく》ありても千人二千人の立食を作るも皆《み》なここにて事足るなり。伯爵家にては大概各日位に西洋料理を調えらる。和洋の料理、この設備に拠....
私本太平記」より 著者:吉川英治
お食事をはこんでくるのも、すべてこの小僕ひとりがするのであった。 また、それで事足るほどな狭さなのだ。ゆうべはよく分らなかったが、今朝あらためて、あたりの景や....
私本太平記」より 著者:吉川英治
彼は見ている。いまも信じて疑わなかった。 「使いをやろう。さっそく」 「お使いで事足るでしょうか」 「わしと法印との仲なればだ。わざわざ両名が首をそろえ六角へ行....
私本太平記」より 著者:吉川英治
こへお城住居を仰ごうと申しあげるのだが、それも御気分に合わぬらしい。いまの水分で事足ると言っておられる」 「やがては、入道して、山林の一庵にでも籠りたい気でおら....