二枚重ね[語句情報] » 二枚重ね

「二枚重ね〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

二枚重ねの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
《おおぜい》の面会人は誰も存外《ぞんがい》平気らしかった。殊に丹前《たんぜん》を二枚重ねた、博奕《ばくち》打ちらしい男などは新聞一つ読もうともせず、ゆっくり蜜柑....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
《さみ》しき模様である。動く気色《けしき》もない。敷布団は厚い郡内《ぐんない》を二枚重ねたらしい。塵《ちり》さえ立たぬ敷布《シート》を滑《なめら》かに敷き詰めた....
行人」より 著者:夏目漱石
便《たよ》りに、蚊帳《かや》の中を覗《のぞ》いて見た。彼女は赤い蒲団《ふとん》を二枚重ねてその上に縁《ふち》を取った白麻《しろあさ》の掛蒲団を胸の所まで行儀よく....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ちへ女客は稀有《けう》だなと見ていると、かの鋭どい声の所有主は縮緬《ちりめん》の二枚重ねを畳へ擦《す》り付けながら這入《はい》って来る。年は四十の上を少し超《こ....
うつり香」より 著者:近松秋江
さきまでじろじろ見まわした。 春着にこしらえたという紫紺色の縮緬の羽織にお召の二枚重ねをぞろりと着ている。 「こんな着物が着たさに淫売をしているのだなあ」と思....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
二、三枚も重ねて敷き、そのうえに襟のところに真白い布を当てた同じ色の厚い掛蒲団を二枚重ねて、それをまん中からはね返して、もう寝さえすればよいようにしてある。そち....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
連れて、居間へ通りつ。小間使いを相手に、浪子は良人の洋服を脱がせ、琉球紬の綿入れ二枚重ねしをふわりと打ちきすれば、武男は無造作に白縮緬の兵児帯尻高に引き結び、や....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
大名《だいみょう》の袷《あわせ》、更紗染《さらさぞめ》に縮緬《ちりめん》の下着と二枚重ね……」 お蝶はようやく着物の縞目だけを見て、こう言いました。 「なるほ....
東京要塞」より 著者:海野十三
隅に腰を下ろしていた髭蓬々の男がいった。彼は病院で借りたのらしい白いネルの病衣を二枚重ねて着ていた。 「おお、お前さんでしたね、わしのところへ知らせて下すったの....
死者の書」より 著者:折口信夫
光りで照し出されたのは、あさましく荒んだ座敷だけでなかった。荒板の牀の上に、薦筵二枚重ねた姫の座席。其に向って、ずっと離れた壁ぎわに、板敷に直に坐って居る老婆の....
同胞」より 著者:豊島与志雄
示した。別に怒ってるようでもなかったので、恒夫は少し安堵した。 祖母は、布団を二枚重ねた上に更に羽布団を敷いて、上に毛布と羽布団とをかけて、如何にも軽そうに寝....
病室の幻影」より 著者:豊島与志雄
一人は肥っており一人は痩せているが、どちらも同じ顔立で、同じく小洒の白い寝間着を二枚重ね、同じく小洒の広帯を前に結び、同じく患者の方をじっと見つめている。そして....
祭りの夜」より 著者:豊島与志雄
ろう。もう枕も、何の跡かたも、そこにはなかった。然し、あれは夢ではなかったのだ。二枚重ねのふっくらした布団の中で、そんなのに久しく馴れない私は体をもてあつかいか....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
一枚ではさぞ寒かろうと、おれも月並みに同情したが、しかし、同じ顫えるなら、単衣の二枚重ねなどという余り聴いたことのないおかしげな真似は、よしたらどうだ。……それ....
不在地主」より 著者:小林多喜二
かりやってくれ」というだけだった。――じゃ、その機会をつかもう、健はそう思った。二枚重ねた座蒲団の上に、物なれたゆるい安坐をかいて、地主が坐っているのを見ると、....