二重底[語句情報] » 二重底

「二重底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

二重底の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
常に大切な書類が入っていたのよ。そういえばもうお察しがついたでしょうが、あの函は二重底になっていて、その間に挟んであったわけなのよ。もし政府がその保管に任ずるこ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ハハ、わかったぞ」 眼をかがやかした吉宗公は、力をこめて小膝を打ちながら、 「二重底だな?」 越前守と愚楽老人は、チラと眼を見かわす。 沈黙におちると、も....
元禄十三年」より 著者:林不忘
。添役が、そんなにせんでもええに。本役の岡部殿からは、この扇箱ひとつ――ふふふ、二重底であろう。見い。」 孫三郎は、箱を手に取って、弄《いじく》りまわした。 ....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
ろうと思うんですが……ですから僕はその地図をとても大切にして、誰にも話さずに鞄の二重底に隠して、その上から絵葉書を詰めて誤魔化しておいたんです。……けれども万一....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
虫のする労働である。小さなカンテラ一つと、形の色々の金槌二つ三つとを持って、船の二重底に這い込み、石炭がすでに真黒になって、油の様にとろりと腐敗したままに溜って....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
る赤や青や黄などのものはなくて、たいてい黒ずんでいる。博士は多分その水甕を特別の二重底にし、そこに爆弾を仕かけておいたものであろうが、そうなると、どの家でもその....
計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
盗み出した時に、直ぐ私の所へ持って来ては、とり返しに来られる恐れがあると思って、二重底の鞄に入れたまま、わざとタクシーの中に忘れたのだ。無論、運転手は何も知らず....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ルゴーをも仕事に加わらした。 かくのごとくして十九世紀の初めには、旧社会はその二重底を清め下水道の化粧をした。とにかくそれだけ清潔になったわけである。 迂曲....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
かけていたのです。それに注意した今村氏は、それが専門の靴屋によって精密に造られた二重底の宝石入れで、船長が今日あるを察して出発前に用意した密輸用の容器であるのを....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
が、並以上の大男じゃアないねえ。再びロッテナム美人術の手口とのお見立てらしいが、二重底の仕掛けにだまされる私らじゃアないらしいようだなア。ハッハッハア」 それ....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
で、左様に取極めたのは石見守の智慧じゃ。そうして切図は薄い油紙に包み、銘々印籠の二重底に隠し置くという、これもその時の申合せじゃ。そうして置いて陰険な石見守は、....
錬金詐欺」より 著者:小酒井不木
実験室にはいって、金貨をタンクの中に投ずるのであるが、その実、投じてから間もなく二重底の仕掛によって、贋の金貨と擦りかえるのである。若し出資者がいつ迄もタンクを....
三国志」より 著者:吉川英治
つけている温容とも心がけともいえるが、悪く解すれば、容易に他人に肚をのぞかせない二重底、三重底の要心ぶかい性格の人ともいえる。 すくなくも、曹操の人間は、彼よ....