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五指
「五指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
五指の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
虎の浅毛なるを山※《さんみょう》、白いのを※《かん》、黒きを※《いく》、虎に似て
五指のを※《ちゅ》、虎に似て真でないを彪《ひょう》、虎に似て角あるを※《し》とい....
「悟浄歎異」より 著者:中島敦
跳《と》び出そうとしたとたんに、如来が手を翻《ひるがえ》して彼を取抑え、そのまま
五指を化して五行山《ごぎょうざん》とし、悟空をその山の下に押込め、※嘛※叭※吽《....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
よとことごとく伸ばすならば、西東は当るとも、当ると思わるる感じは鈍くなる。糸子は
五指を並べたような女である。受ける感じが間違っているとは云えぬ。しかし変だ。物足....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
人から与えられる小額の銅貨を受け取るため、絶えず前に突き出している手にはほとんど
五指がなかった。我々はそれを見るのがいやさに、この参道を駆け抜けるのが常であった....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
定さ。だが、僕は、その推理に就いて云々する前に、あの屍体の奇妙に開かれた両脚や、
五指を固く握り締めたままの右掌に対して、何よりも大きな興味を覚えるよ。そしてだね....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
下に煎じていた金銀|瞳の黒猫の頭――
――同じく精神病者が自分で斬り棄てた左手の
五指と、それに使用した藁切庖丁――
――寝台から逆様に飛降りて自殺した患者の亀裂....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
うは、指を緊張して伸ばし、先端の第一関節のみ折れ曲がりて、蛇の鎌頸状を成すので、
五指ことごとくそうなるを苦手《にがて》といい、蛇その人を見れば怖れて動かず、自在....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
まで十二支を逆さに三度繰り返すべしと。また一法は、戌亥子丑寅と五支の名を唱えつつ
五指を折り固むるのだと。ただしその法幾度行うても寸効なかったと自白した。上に孫引....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
れる自然の意志と慈愛とは、感嘆に値いするものがある。 この小さな蟹の第二指と第
五指とが、人間のそれと同じように、第三指や第四指に比べて少し短いのは、どうした訳....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
囲うと、筒袖だが、袖を開いて、小腕で庇って、いたいけな掌をパッと開いて、鏃の如く
五指を反らした。 しかして、踏留まって、睨むかと目をみはった。 「ごめんよ。」....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
食べてしまったあとでもなお囲みを解かず、小さな眼を皿の中に萃めていると、彼は急に
五指をひろげて皿を覆い、背を丸くして 「たくさん無いよ。わしはもうたくさん持って....
「愛読した本と作家から」より 著者:黒島伝治
いるが、本当に、ペンをとってブルジョアを叩きつぶす意気を持ってかゝっている者は、
五指を屈するにも足りない。僕は、トルストイや、ゴーゴリや、モリエールを(メリメは....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
一益、丹羽五|郎左、池田信輝」 「まだありますな。前田どの、明智どの、羽柴どの」
五指のひとつひとつを折って来ながら彼が、羽柴どの――といったとき、官兵衛はその頭....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
う、一と所黒部川が穹い底から白い眼で此方を睨み上げていた。祖父谷、祖母谷の上流は
五指を開いたように小谷が岐れて、悽愴な光を放つ赭色のガレが、酷たらしく山の肌に喰....
「それから」より 著者:夏目漱石
出した。代助は三千代の泣く様《さま》を見るに忍びなかった。肱《ひじ》を突いて額を
五指の裏に隠した。二人はこの態度を崩さずに、恋愛の彫刻の如く、凝《じっ》としてい....