五重の塔[語句情報] » 五重の塔

「五重の塔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

五重の塔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
、三月の朝の空は眼を醒ましたようにだんだんに明るくなった。幾羽の鳩の群れが浅草の五重の塔から飛び立つのが手に取るようにあざやかに見えた。眼の下の仲の町には妓楼や....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
とよどんで、まわりの竹藪は白い重荷の下にたわみかかっているらしかった。朝夕に見る五重の塔は薄い雲に隔てられたように、高い甍《いらか》が吹雪の白いかげに見えつ隠れ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」 七月十日は浅草観音の四万六千|日で、半七は朝のうす暗いうちに参詣に行った。五重の塔は湿っぽい暁の靄につつまれて、鳩の群れもまだ豆を拾いには降りて来なかった....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
蒼いのが、真暗な空へ、ぼっと映しますとね、黄色くなって、大きな森が出て、そして、五重の塔の突尖が見えるんですよ……上野でしょうか、天竺でしょうか、何にしても余程....
光の中に」より 著者:金史良
かったり雨に洗われた地面に所々わくら葉が落ちたりしていた。鳩の群が弁天様の屋根や五重の塔のまわりをにぎやかに飛び交っていた。灯籠の傍に出ると下の方に茂みの合間を....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
を知らせつつある。 私の子供の時分には、大阪に二つの高塔があった、これは天王寺五重の塔とは違って、当時のハイカラな洋風の塔であった、一方は難波にあって五階であ....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
人とは、きれいに分をつけ参らせ候。 そうした手紙を、やがて俊吉が受取ったのは、五重の塔の時鳥。奥山の青葉頃。…… 雪の森、雪の塀、俊吉は辻へ来た。 ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
くんだ、という触込みで、天王寺へ練込みましたさ、貴方。 幇間が先へ廻って、あの五重の塔の天辺へ上って、わなわな震えながら雲雀笛をピイ、はどうです。 そんな我....
式部小路」より 著者:泉鏡花
なお語り続ける。 「で、三宜亭で聞きますとな、愛の野郎は当日お昼過から、東照宮の五重の塔に転がっていたんでがすって。暮かかってから、のッそり出かけて、くらがり坂....
枯尾花」より 著者:関根黙庵
き口吻で、由来伊勢には天火が多い、阿漕の浦の入口に柳山と云う所がある、此処に石の五重の塔があって、この辺から火の玉が発し、通行人を驚かす事は度々ある、君が鰡堀で....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
物が存在する。さればその説はその時限りで立ち消えとなってしまったとしても、少くも五重の塔婆だけは元禄の際の再建と云ってもよい程にまで、根本的修理の加えられたもの....
五重塔」より 著者:幸田露伴
にも云い出でんとしてなお開きかぬる口をようやくに開きて、舌の動きもたどたどしく、五重の塔の、御願いに出ましたは五重の塔のためでござります、と藪から棒を突き出した....
春泥」より 著者:久保田万太郎
それからじき一行五人は……由良とその三人の外に吉沢が加わった。……谷中の天王寺の五重の塔のまえで自動車を下りた。空のあさ/\と晴れた、風のない、日のいろのおだや....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
蟻の道塔より墓地に続きけり 楽山 蟻の道本堂まで厨より続きけり その女 「五重の塔より」とか「塔の下より」とかいうのは沢山ありましたが、「塔より墓地に」と....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
ということは、だから、その門の方を向いた教場の窓からみると、その銀杏の梢のかげに五重の塔の青い屋根が絵のようにいつもくっきり浮んでいた…… 『旧雷門のありしとこ....