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五音
「五音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
五音の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
焦れて潤いなく、土声は重く且つ沈み、金声は響鐘の如く、水声は円く滞りなく、これを
五音と申します。……声あれども響きなきは、吉もなければ凶もなく、声丹田より出る時....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
自由詩に始まった日本の詩は、後に*支那との交通が開けてから、始めて万葉集に見る七
五音の定形律(長歌及び短歌)の形式を取るに至った。しかもこの定形律は、韻文として....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
「――わかたなは、あんやたい――」若旦那は、ありがたいか、暖かな、あの屋台か、
五音が乱れ、もう、よいよい染みて呂律が廻らぬ。その癖、若い時から、酒は一滴もいけ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
その云い方は、全然、正気の人間の云い方であり、その声音は、これも正気の人間の、
五音の調った、清々しい声音であった。 「まあお父様!」と、栞は叫ぶように云い、父....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
てやろう」 2 「それには及ばぬよ」と主水は云った。 心に計画ある時には自ずと
五音に現われるもので、陣十郎の言葉の中に、平時とは異う不吉の響きが、籠っているが....
「奥の海」より 著者:久生十蘭
に威儀がなく、気魄薄げな人体であった。冠もつけず、円座のうえに足を組んで坐ると、
五音《ごいん》をはずしたうつろな声で、いきなりこんなことをいった。 「あまりの飢....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ほうへ降りかける。 熊野神社《くまのじんじゃ》のそばまで来ると、暗闇の中から、
五音《ごいん》をはずした妙なふくみ声で、 「もしもし、駕籠屋さん……」 た....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
考えた愚説では、それは恐らくサネカズラが古今を通じた名であって、それがナニヌネの
五音相通ずる音便によって昔どこかでサナカズラと呼んでいたのではなかったろうかと推....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
の年齢のごときは、声の数にて応答せしなり。かくて本年二月ごろより、その声わずかに
五音をいいわけ、よく談話するに至れり。ただし、その口笛のごとき響きのみのときも、....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
は、口のうちで、口真似してみた。 疑ってみると、その声も、何だか人間放れのした
五音であった。 (仲間の狐だな) 狐の友が、狐をよんだ声にちがいない。――伊織....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
る。 畔田翠山翁の『古名録』などを見ると、牡丹をフカミグサ・ハツカ草という類の
五音節語は、何百というほども設けられている。名がなければ文学の生れぬのは当り前だ....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
ウの木の高い梢などに、腰をおろし悠々と啼いていたものは、いずれもよく聴いていると
五音であった。これはあるいは樹にいる場合と、空を飛ぶ折とは感情が別なのかも知らぬ....