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井戸水
「井戸水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
井戸水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
うのを耳にもとめずに台所の方へいってしまった。 冷ややかな空気に触れ、つめたい
井戸水に顔を洗って、省作もようやく生気づいた。いくらかからだがしっかりしてきはき....
「わが町」より 著者:織田作之助
を見る気もせず、夜他吉が帰ってから食べられるように、冷やしそうめんをこしらえて、
井戸水の中に浸けたあと、生国魂神社へお詣りすると、足は自然下寺町の坂を降りて、千....
「空襲警報」より 著者:海野十三
は、講演放送を途中で切り、警察署からの臨時官庁ニュースとして、「コレラ菌の入った
井戸水を注意して下さい」を放送しだしたから、ラジオを聞いていたものは驚いた。 「....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
はことごとく地中深く吸い込まれてしまい、草原のじとじとした湿りが乾燥し、私の家の
井戸水のかさが減じてしまうのが毎年初秋における常例である。そして次の初夏のころま....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ところが、拾い屋をはじめてから十日ばかりたったある朝、ガードの近くの百姓家へ
井戸水を貰いに行っていると、そこの主人が拾い屋もいいが、一日三十七銭にしかならぬ....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
払う習慣があったのを、風呂代りに冬まで延長したのである。 その家は水道がなくて
井戸水だったから、夏ですら水につかった瞬間にはドキリとするが、秋から冬には同じ瞬....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
戸の中をしらべてみると、女中の死体などはないのである。なにぶん大豪雨のあとだから
井戸水はおどろくほど増水して、深い井戸だが、相当水がせり上っている。とても底まで....
「博物誌」より 著者:岸田国士
れから、だいぶ楽になったらしいブリュネットのからだに、額からずっと尻尾の先まで、
井戸水でしめした湿布を当て、それをしょっちゅう取換えてやる。すぐ暖まってしまうか....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
無数に傷を受けて、歩行が自由にできなかったからで、で、あちこちで身体を休めたり、
井戸水などを飲んだりした。
その上金兵衛はお粂に対しては、この上もなく忠実だっ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
はこの水道を飲料に用いている。井戸を掘っても水がでないのだ。 だから、吉野山に
井戸水があるということは例外なのだ。清水というものも、甚しく乏しい量で、後ダイゴ....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ところに住んでいたから、存分に冷水浴をたのしむことができた。 満々と汲みたての
井戸水に五分間もつかっていると骨のシンまで冷えてくる。そこをもう一ツ我慢してつか....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
たおれも、ちっとばかりぎょッとしたぞ。これで二三ン日経ったら、また出掛けてって、
井戸水の一つも汲んでやるんだ。そうすりゃア深川あたりに、独りで暮していてもつまる....
「美味い豆腐の話」より 著者:北大路魯山人
は美味い。 一方、東京では、昔、笹乃雪などという名物の豆腐があった。これもよい
井戸水のために、いい豆腐ができたのだが、今は場所も変わって、わずかに盛時の面影を....
「神は弱いものを助けた」より 著者:小川未明
とうなずいて、家へ帰って、水を大事に使っていました。 甲は、毎日、もう乙の家の
井戸水は尽きた時分だが、どうしているだろうと、ようすをうかがっていましたが、格別....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
洗いづくりは、なんと言っても井戸の水が一等である。井戸の水さえ良質であれば、まず
井戸水にかぎる――と言っても過言ではない。次から次へ、だあだあと出る水をもって、....