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井筒
「井筒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
井筒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の光に、かすかな虹《にじ》を描いていた。娘は身をかがめながら、苔蒸《こけむ》した
井筒《いづつ》に溢《あふ》れる水を素焼《すやき》の甕《かめ》へ落していたが、ほか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
友吉は庫裏《くり》の前を指さして教えた。大きい百日紅《さるすべり》の下にある石の
井筒には、一面に湿《しめ》っぽい苔がむしていた。今度の騒ぎで荒らされたと見えて、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
み、片手で髯を捻りながら、目をぎろぎろと……ただ冴えない光で、 「だろう、君、筒
井筒振分髪と云うんだろう。それならそう云いたまえ、僕の方にもまた手加減があるんだ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
、昔からのえら物で、そこの女将たる実権を握っていて、地方有志の宴会にでも出ると、
井筒屋の女将お貞婆さんと言えば、なかなか幅が利く代り、家にいては、主人夫婦を呼び....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ろへ、後の扉がコツコツと鳴って、三等水兵の、真紅な顔が現れた。 「紙洗大尉どの、
井筒副長どのが、至急お呼びであります」 「おお、そうか。直ぐに参りますと、そう御....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ギー青年が乗りこんでいた。 これは、マヌエラの父の旧友の息子で、マヌエラとは筒
井筒の仲だが、うまがあわぬというのか、マヌエラは非常に彼を嫌っていた。それに、ど....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
て、 大「えゝーい」 と大藏は態と酔った真似をして、雪駄をチャラ/\鳴らして、
井筒の謡を唄いながら玄関へかゝる。お菊は其の足音を存じていますから、直に駈出して....
「黴」より 著者:徳田秋声
で、築山の側にある井戸の傍へ行くと、冷たい水に手拭を絞って体を拭いた。石で組んだ
井筒には青苔がじめじめしていた。傍に花魁草などが丈高く茂っていた。 部屋はもう....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
のだそうだ。 不昧の鑑識で、虚堂墨蹟に配せられた鎗の鞘の茶入は、もと京都の町人
井筒屋事河井十左衛門の秘蔵で、その頃の伏見奉行小堀遠州は、京へ上るときには、いつ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
替えては、手を伸ばす、が爪立っても、青い巾を巻いた、その振分髪、まろが丈は……筒
井筒その半にも届くまい。 三 その御手洗の高い縁に乗っている柄杓....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
人は何処となく浮き浮きしていたのだ。と云うのは、その可遊と云う男が、これがまた、
井筒屋生き写しと云う男振りでさ。いいえどうして、玉屋ばかりじゃないのだよ、廓中あ....
「両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
角でございまして、ご商売屋さんと申しますれば、三河屋さんとか、駒屋さん、さては、
井筒屋さんというような、表看板はごく、ひっそりと、格子戸の奥で商売をされている様....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
十人、総勢百人と注されたところの、油屋というのを筆頭に、栄楽屋、大黒屋、小林屋、
井筒屋、若葉屋、千歳屋など、軒を連ねて繁昌し、正木屋、小野屋、近江屋なども、随分....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
汲んでくれるから、さのみ難儀でもないとお仙は話した。御座敷の庭先にももうひとつの
井筒があって、それはここよりも浅く、水も更に清いのであるが、一々にお庭先までは廻....
「世間師」より 著者:小栗風葉
った古下駄を貸してくれた。口数が少なくテキパキしたものだ。 宿の横の、土管焼の
井筒が半分往来へ跨がった井戸傍で、私はそこに投りだしたブリキの金盥へ竿釣瓶の水を....