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亘
「亘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
れた、あやまるにもあやまれない気の毒さである。保吉はこの気の毒さの前に、一時間に
亘《わた》る葬式中、始めて悄然《しょうぜん》と頭を下げた。本多少佐の親族諸君はこ....
「白」より 著者:芥川竜之介
とした。そこへ見慣《みな》れぬ黒犬が一匹、突然猫を救いに駈《か》けつけ、二十分に
亘《わた》る奮闘の後《のち》、とうとうその大蛇を噛《か》み殺した。しかしこのけな....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
す。」「人の噂《うわさ》を聞きますと、頭《かしら》と尾とが八つある、八つの谷にも
亘《わたる》るくらい、大きな蛇《くちなわ》だとか申す事でございます。」
「そうで....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
が祈祷をしているのに出遇った。それ以来、十八世紀の初期に至るまで、彼が南北両欧に
亘《わた》って、姿を現したと云う記録は、甚だ多い。最も明白な場合のみを挙げて見て....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
連山も川向いの昆布岳《こんぶだけ》も手に取るようだった。夏の夜の透明な空気は青み
亘《わた》って、月の光が燐のように凡《すべ》ての光るものの上に宿っていた。蚊《か....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
いあって坐った。そして眼を見合わした。 曇った秋の午後のアプスは寒く淋しく暗み
亘っていた。ステインド・グラスから漏れる光線は、いくつかの細長い窓を暗く彩って、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
テネス(Kallistheness)はアリストテレスのために、紀元前二三〇〇年に
亘るこの種の観測資料を収集した。カルデアの僧侶たちは毎夜の星辰の位置とその光輝の....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
で遁した。あたかもその影を追うごとく、障子を開けて硝子戸越に湖を覗いた。 連り
亘る山々の薄墨の影の消えそうなのが、霧の中に縁を繞らす、湖は、一面の大なる銀盤で....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
拭を掛けたいように底が澄まず、ちょうど海の果と思う処に、あるかなし墨を引いた曇が
亘って、驚破と云うとずんずん押出して、山の雲と一|絡めにまた空を暗闇にしそうに見....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
足ると思う。 小櫻姫物語は解説によれば鎌倉時代の一女性がT夫人の口を借り数年に
亘って話たるものを淺野和三郎先生が筆記したのである。但し『T夫人の意識は奥の方に....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
霊会の席上に出現する燐光でさえもが、右にのぶる如き好条件の下にありては、青く冴え
亘って煙がない。之に反して条件が悪ければ其光が鈍く汚く燻っている。 註――当時モ....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
た菊池、――それは会っても会わないでも好い。わたしの一番会いたい彼は、その峰々に
亘るべき、不思議の虹を仰ぎ見た菊池、――我々の知らない智慧の光に、遍照された菊池ばかりである。....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ーはリーブを徳としたのか、その交際はリーブの子の代までも続き、実に五十年の長きに
亘った。 再び旅行の事に戻ろう。デビーはゼネバを立って、北方ローザン、ベルン、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
そしてどこの、」 「居る処は根岸なんで、」 「根岸か、」 「へい、根岸の加茂川|
亘ッてんです。」 「加茂川
亘。」と金之助は口の裡でその名を言った。 紋床は背後....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
かねて、火の粉が入ったようにぐッとその目を圧え、 「だって、だって何でさ、加茂川
亘さんて――その、あの、根岸の歌の先生ね、青公家の宗匠ン許へ、お嬢さんの意趣返し....