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亙
「亙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
人しだいによるのである。「拈華微笑《ねんげみしょう》」の昔はもちろん、百数十行に
亙《わた》る新聞記事さえ他人の気もちと応じない時にはとうてい合点《がてん》のでき....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
つつ、その精神は全く村越友として経営苦労しつ。その間は実に三年《みとせ》の長きに
亙《わた》れり。 あるいは富山《とやま》に赴《い》き、高岡に買われ、はた大聖寺....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
者も共ども、堕胎罪として、起訴されなければならない。 さて、その若い女の全身に
亙って、精密な診断を施したところ、人工流産を施すべきや否やについて、非常に困難な....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
だった。 ドーン。 やや間を置いて、大きい花火のような音響が、あたりに、響き
亙った。 光弾は、須田町の、地下鉄ビルの横腹に、真黄色な光線を、べたべたになす....
「地獄街道」より 著者:海野十三
なかったけれど、やっぱり頭脳の冴えた辻永だと感心した。 例の箱とは、前後三回に
亙って発見された有名なる箱詰屍体事件の、その箱のことなのである。 細かいことは....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
、課長はその途端《とたん》に彼から頼まれたことを一切忘れてしまった。これは永年に
亙る課長の修養の力でもあったり且又《かつまた》習慣でもあった。“ものごとを記憶す....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
安楽椅子から絨毯の上に移させた。それから彼の手で、死体の服を剥いた。そして全身に
亙って精密なる観察を遂げた。 彼が腰を伸ばして、検事の方へ手を振ったので、彼の....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
インしてあるぞ」 今まで気がつかなかったが、下欄の小さい活字のところが、数行に
亙って、黒い鉛筆でアンダーラインしてあった。そこを読むと、こんなことが書いてあっ....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
らして戸口へ飛び出しました。外は水を打ったように静かな眺めです。月光は青々と照り
亙り、虫がチロチロと鳴いています。まるで狐に化かされたような穏かな風景です。 「....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
て、貴下の手から錠を解いて、縫のその袖を返して頂きたいと存じ、およそ半年、百日に
亙りまして、狂と言われ、痴と言われ、愚と言われ、嫉妬と言われ、じんすけと嘲けられ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
うは狭からざりしが、今はただ一跨ぎ二足三足ばかりにて、向の雨落より、此方の溝まで
亙るを得るなり。 筋向いなりとわれは覚ゆ。かの石の鳥居まで、わが家より赴くには....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
が、現在に於ていよいよ地上に出現しつつあることは驚歎すべきである。今や世界全土に
亙りて普及しつつある神霊運動の前には何物も抵抗すべくもない。世界で一番後一番後※....
「初雪」より 著者:秋田滋
、もう静かな波がうち寄せて来て、ざ、ざあッとそれを洗っていた。――うらうらと晴れ
亙った、暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春日和....
「暗号数字」より 著者:海野十三
こうでもしないと、私どもの官庁の重大事件を貴下にお願いしたことがどこへもすぐ知れ
亙ってしまいますので」 と、情報部事務官木村清次郎氏は、初対面の挨拶のあとで、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
一様に平にならして、人の歩行いた路ともなく、夜の色さえ埋み消したが、見る見る垣を
亙り、軒を吹き、廂を掠め、梢を鳴らし、一陣たちまち虚蒼に拡がって、ざっという音|....