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些末
「些末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
些末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「親子」より 著者:有島武郎
風も見せずに平気なものだった。実際彼から見ていても、父の申し出の中には、あまりに
些末のことにわたって、相手に腹の細さを見透かされはしまいかと思う事もあった。彼は....
「食魔」より 著者:岡本かの子
いう女の、その意味での非凡さにもやがて搦め捕られてしまった。鼈四郎のような生活の
些末の事にまで、タイラントの棘が突出ている人間に取り、性抜きの薄綿のような女は却....
「志賀直哉氏の作品」より 著者:菊池寛
の点から言って見よう。リアリズムを標榜する多くの作家が、描かんとする人生の凡ての
些末事を、ゴテゴテと何らの撰択もなく並べ立てるに比して、志賀氏の表現には厳粛な手....
「カメラをさげて」より 著者:寺田寅彦
別な目をぶらさげて歩いているだけでもかなり多くの発見をすることがある。 手近な
些末な例をあげると、銀座の裏河岸のある町の片側に昔ふうの荷車が十台ほどもずらりと....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
いて居る所などの氏は丁度象かなどの様に見えます。この容態で氏は、家庭に於て家人の
些末な感情などから超然として、自分の室にたてこもり勝ちであります。その室は、毎朝....
「重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
かりと噛み切る光景が鮮明なクローズアップとなって想い出される。幼時の記憶には実に
些末なような事柄が非常に強く印象に残っていることがある。そういうことは意識的には....
「子規自筆の根岸地図」より 著者:寺田寅彦
っきりしていたが、近頃のは捺し方がぞんざいで不明なのが多いような気がする。こんな
些末なところにも現代の慌だしさが出ているかもしれないと思われる。 もう一つの子....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
ごとく議論している事が、自分には一向に一大事のごとく感ぜられないで、どうでもよい
些末な事のように思われる時ほど自分を不幸に感じることはない。最も重要なる会議がナ....
「学位について」より 著者:寺田寅彦
れと反対に、その提出された仕事が問題の各方面を引っくるめた全体の上から見ると実に
些末な価値しかないものと他の多くの人からは思われるものであっても、それが丁度、当....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
ある。それは行為の法則を与えようとしない。行為そのものを描く。ときとしては末梢的
些末事と取り組んで飽くことを知らない。人生を全体として把握し、生活の原理と法則と....
「スポーツ・文学・政治」より 著者:坂口安吾
だ。大岡君の場合は『捕虜第一号』のような、あんな勇士じゃないんだが、テーマ自体が
些末だという気がする、そして遊んでいると思うね。小林みたいな言いかたでほめればほ....
「チューインガム」より 著者:寺田寅彦
国論も畢竟はただ一場の空論に過ぎないと云われても仕方がないであろうが、しかしこの
些末な嗜好品の流行の事実もそう軽々には見遁すことの出来ないものではあろうと思われ....
「俳優と現代人の生活(対話Ⅴ)」より 著者:岸田国士
ズムというものの、日常性に結びついた魅力を深く掴んでいない結果だと思う。だから、
些末主義に陥るとはいうけれど、実際は、リアリズムから、だんだんトリビアリズムに落....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
ば出来ないというものでもない、利休は法あるも茶にあらず、此の如き風習一度立たば、
些末の形式などは自然に出来てくる一貫せる理想に依て家庭を整へ家庭を楽むは所有人事....
「「にんじん」とルナアルについて」より 著者:岸田国士
無比ともいうべき観察の眼と、的確緻密な表現のニュアンスである。 彼は常に身辺の
些末な事件に興味をひかれ、自然の一隅にひそむ生命の囁きに耳を傾けた。彼には、いか....