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「亡児〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

亡児の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:夏目漱石
静の三週間に違なかった。同時に心から云うと、恐るべき忍耐の三週間であった。宗助は亡児のために、小さい柩《ひつぎ》を拵《こし》らえて、人の眼に立たない葬儀を営なん....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
め此家の子女は、皆|小柄の色白で、可愛げな、而して品の良い顔をして居る。阿爺は、亡児の枕辺に座って、次郎さんの幼な立の事から臨終前後の事何くれと細かに物語った。....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ば志すサンチアゴ詣でを済まし、三人伴れて出た故郷へ二人で帰る力なさ、せめて今一度亡児の跡を見収めにとサンドミンゴに立ち寄ると、確かに刑死を見届けたその子が息災で....
」より 著者:鷹野つぎ
った坊やのおためにも」 附添婦の小谷さんは部厚い聖書の頁を繰り展げた。 私は亡児の気分のよい時に、小谷さんに二三度聖書を読んでもらったことを思い出した。今で....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
かれてあったと、私はあとで感じを新らたにした。私自身の入院に至るまでの苦境、私の亡児の忍耐多かった短かい生涯、溯れば私の心の傷む思いもそれからそれへと際限がなか....
我が子の死」より 著者:西田幾多郎
交換したまでであった。逗留七日、積る話はそれからそれと尽きなかったが、遂に一言も亡児の事に及ばなかった。ただ余の出立《しゅったつ》の朝、君は篋底《きょうてい》を....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
躑躅ぬけば石ころ/\と転がるよ 京都へ嫁入る女子に 暖き加茂の流れも汲み習へ亡児惟行が記念の帛紗に 為山が藤の花画きたれば 行き行きて行くこの春の形見か....
」より 著者:豊島与志雄
かった。 ただ一つ私の心を慰めたことには、その蓮の葉を一枚、盂蘭盆の折、亡父と亡児との位牌のある仏壇に供えることが出来たのである。 「どうせ駄目な蓮ですから、....
オランウータン」より 著者:豊島与志雄
愛という色に塗られて、伝えられていた。 だが、違う、私に云わすれば違う。たとえ亡児に対する妄執から起ったものにせよ、亡児の幻影に惹かされたものにせよ、母の温か....
迷信解」より 著者:井上円了
、その姿が自然に目に触れ、夢のごとくに見ることがある。しかるときは、母親は必ず「亡児の幽霊を見たり」というに違いない。されど、その幽霊は心中の妄想がその形を現じ....