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交す
「交す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
交すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
訳もありません。いや、私は何度となく、すでに細君の従弟だと云う以上、芝居で挨拶を
交すくらいな事は、さらに不思議でも何でもないじゃないかと、こう理性に訴えて、出来....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
出した。快活な同じ鐘の音は、麓の町からも聞こえて来た、牡鶏が村から村に時鳴を啼き
交すように。 今日こそは出家して基督に嫁ぐべき日だ。その朝の浅い眠りを覚ました....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
遠の恐怖に面して、絶望に顫えおののいているのである。」 しかしラザルスと言葉を
交すことを好まない人たちは、更にいろいろのことを言った。そうして、みな無言のうち....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、ぬい、と顔を出したのは、酒井へお出入りのその車夫。 おうと立停まって一言二言
交すついでに、主税はふと心付いて、もしやこの頃、先生の事だの、お嬢さんの事を聞き....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、ひゅうら、ひゅうら、ツテン、テン。あらず、天狗の囃子であろう。杢若の声を遥に呼
交す。 「唄は、やしこばばの唄なんだよ、ひゅうらひゅうら、ツテン、テン、 やしこ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
というのだ。売り勝とう、売り勝とうと、調子を競って、そりゃ高らかな冴えた声で呼び
交すのが、空気を漉して井戸の水も澄ますように。それに居まわりが居留地で、寂として....
「多神教」より 著者:泉鏡花
のことづけじゃ、一所に、あれへ参られい。 後見 なあよ。 太鼓の男 おおよ。(言
交す。) 道化の面の男 かえっておぞうさとは思うけんどが。 笛の男 されば。 お....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ずかに凹を残すのみ、車の轍も遥々と長き一条の名残となった。 おうおうと遠近に呼
交す人声も早や聞えず、辻に彳んで半身に雪を被りながら、揺り落すごとに上衣のひだの....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ある。 「ちょっと燈を、……」 玉野がぶら下げた料理屋の提灯を留めさせて、さし
交す枝を透かしつつ、――何事と問う玉江に、 「誰だか呼んだように思うんだがねえ。....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
帆村たちは、地上指揮所の前に整列した。班長左倉少佐が前に立っている。一同敬礼を
交す。それから班長から、本日の宇宙偵察隊出発について、力強い激励のことばがあった....
「火星兵団」より 著者:海野十三
伝えて来るのであった。
火星にいる佐々刑事と蟻田博士の地下室にいる新田先生とが
交す宇宙電話は、なおも続いた。
「もしもし新田先生、聞いているかね」
「聞いてい....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
つりあって、それが又二人の訪問者には甚らなく痛々しげに思われた。こんな時誰でもが
交す様なあの変に物静かなお定りの挨拶が済むと、瞼をしばたたきながら、夫人は大月の....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
頃であったかも知れないが、その小さな妹を連れて、やはりたしかに僕との単なる微笑を
交すために、練兵場へ散歩に来た女の子があった。警察署長の娘だった。 やはり僕は....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
ばせる相手はわたくしに肖て而かも小娘の若き姿である。 声もかすかに呼びつれ呼び
交すうちに、ふとわたくしはあのお雛妓のかの子さんの若さになりかける。ああ、わたく....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
時半。ふらんす風の正式の「昼の朝飯」前に夫人は居間附応接室で彼女の夫と朝の挨拶を
交す。 モーニングの夫は眉を動かして、 「結構な天気じゃないか、奥」 そして....