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享受
「享受〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
享受の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青木の出京」より 著者:菊池寛
在していた。ことに、彼は自分の暗かった青年時代を回想すると、謙遜な心で今の幸運を
享受することができた。 彼は、ともかくも晴れやかな浮揚的《ボイアント》な心持で....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
と、二人の人間が話しながら、四阿の方へ近よってくるらしい。 忠直脚は、今自分が
享受している静寂な心持が、不意の侵入者によって掻き乱されるのが厭であった。 し....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
想が体験的の検察なしに受取られるということだ。それは思想の提供者を空しく働かせ、
享受者を空しく苦しめる。 ニイチェが「私は自分が主張を固執するために焼き殺され....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
らの中の少数な学識ある奴僕たとえば写字生のようなもの以外のものは精神文化の進歩を
享受することを許されていなかった。特にまた、手工、従って実験的な仕事などをするの....
「食魔」より 著者:岡本かの子
人が持ち帰ったのは主にフランス近代の巨匠のものだったが、本能を許し、官能を許し、
享受を許し、肉情さえ許したもののあることは東洋の躾と道徳の間から僅にそれ等を垣間....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
たわず、しかれども泰西においては個人的自由に対するに公同的自由すなわち平等一般に
享受するの自由というをもってせり。邦人の称する国家的自由は多分これを指称するなら....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ことなく右か左か行為を決定できる人はいうことはない。しかし、かかる驚くべき幸福を
享受し得る人はきわめて少ない。少なくとも私などには不可能なことである。 社会に....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
家の統制力によって、個人が孤立しては到底得られないような教養と力と自由とを国民に
享受せしめねばならぬ。かかる理想から労働者階級に対する国家としての道徳的義務があ....
「政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
なのである。国民として、国法の支配を受け、国民の義務を履行し、国民としての権利を
享受して生活する以上、普通の思考力のある人間なら、政治に興味を持たないで暮せるわ....
「著作権の問題」より 著者:伊丹万作
づけてきたし、現にきのうもきようも、(そしておそらくはあすもあさつても)、我々の
享受すべき利益が奪われつづけているのは、我々の権利を認め、かつこれを保護してくれ....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
を拱いて考え始めたのは、坂田藤十郎であった。 三ヶ津総芸頭と云う美称を、長い間
享受して来た藤十郎は、自分の芸に就ては、何等の不安もないと共に、十分な自信を持っ....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
究的労作のなかに、知性を鍛え、すべて人間の持ちうるカルチュアーの機会をことごとく
享受することのできるあなたを心からお祝いしたく思います。あなたがいって下さるよう....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
無限の不満を吐きだす反対者も生れるのである。 しかしながら、そのような官能的な
享受をしばらくやめて、『新古今集』のすぐれた歌人といわれる人たちの歌を、少し読み....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
等の体から言えば、人々、同じ人間であり、同じく本能を持ち、同じく生命を養い生活を
享受し子孫を遺そうとしております。 その他、あらゆる物事に、差別と平等が時に結....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ロランの演奏を聴いてマルヴィーダは書いている―― 「ベートーヴェンの世界霊を私は
享受した。そこでは、この世に生まれた者の最も深い悲しみが、神に近い精霊らの最もけ....