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「享楽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

享楽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
何とも云われない恐怖《きょうふ》だった。伝吉は刀を構えながら、冷やかにこの恐怖を享楽した。 「さあ、その伝三の仇《あだ》を返しに来たのだ。さっさと立ち上って勝負....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
がら、冷やかにこのありふれた家庭的悲劇を眺めていた、――と云うよりも寧《むし》ろ享楽していた。彼女の過去は暗いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの....
」より 著者:芥川竜之介
ちょっと残酷《ざんこく》な心もちがした。同時にまたそう云う妹の羞恥《しゅうち》を享楽したい心もちもした。かたがた広子は安楽椅子の背に西洋髪《せいようがみ》の頭を....
十円札」より 著者:芥川竜之介
彼はトンネルからトンネルへはいる車中の明暗を見上げたなり、いかに多少の前借の享楽《きょうらく》を与えるかを想像した。あらゆる芸術家の享楽は自己発展の機会であ....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
》を享《う》けた鬼は勿論平和を愛していた。いや、鬼というものは元来我々人間よりも享楽《きょうらく》的に出来上った種族らしい。瘤《こぶ》取りの話に出て来る鬼は一晩....
少年」より 著者:芥川竜之介
んの二三分の感情だった。その後《ご》の彼はさざ波は勿論、あらゆる海の幸《さち》を享楽した。茶屋の手すりに眺めていた海はどこか見知らぬ顔のように、珍らしいと同時に....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
を食うさえ、無上の快に数えているではないか? 且《かつ》又水や寒気などにも肉体的享楽の存することは寒中水泳の示すところである。なおこの間の消息を疑うものはマソヒ....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
何んでも食う事が出来た。私たちは偶然な社会組織の結果からこんな特権ならざる特権を享楽した。お前たちの或るものはかすかながらU氏一家の模様を覚えているだろう。死ん....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
があるのか。一例を挙げるならば、近き過去において自然主義者から攻撃を享《う》けた享楽主義と観照論当時の自然主義との間に、一方がやや贅沢《ぜいたく》で他方がややつ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
はこの運命の狂いを悔いることなく、殆んど捨鉢な態度で、この狂いを潤色し、美化し、享楽しようとさえしているのだ。 私達は幸いにして肉体の力のみが主として生活の手....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いたまま歩くことを許され、またファラオの足でなくて膝に接吻してもいいという光栄を享楽していた。そしてこの大きな栄誉を担う人々の徽章として豹の毛皮(今ならヘルメリ....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、ラザルスは七日のあいだ、他の人々のところへ招かれて行った。 ラザルスが一人の享楽主義者の邸へ招かれたとき、主人公は大いに笑いながら彼を迎えた。 「さあ、一杯....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
であるが、内面的に観れば、それは地縛の悪霊の跳躍なのである。地縛の霊は、斯くして享楽の二度の勤めをする。かかる悪霊の犠牲になった人間は、勿論ただ堕落の一路を辿り....
「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
き描写は、屡、破綻を来しているようである。こう云う傾向の存する限り、微細な効果の享楽家には如何なる彼の傑作と雖も、十分の満足を与えないであろう。 ショオとゴオ....
狂人日記」より 著者:秋田滋
憐れむべきその小鳥には、血が少ししかなかった。私は望んでいたほど長い間この快味を享楽することが出来なかった。牛の血を絞るところを見たら、さぞかしすばらしいことだ....