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「京染〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

京染の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
まんは縫いかけた長襦袢のきれを取り上げながら、また話しつづけた。目のさめるような京染めの紅絹の色は、これから嫁いで行こうとする子に着せるものにふさわしい。 「そ....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
そこで色々と手を尽して探しているうちにヤットの事で、当時、福岡の簀子町という処に京染悉皆屋の小店を開いていた渡り者のGという三十男を引っ張って来て間に合わせる事....
旅愁」より 著者:横光利一
感じた。彼は先へ歩を移し、後は馳け降りる勢いで室内を見てから、一隅に露出された南京染付の水鉢に片肱をかけて休んだ。 「新秩序と題しまして、東野速雄氏の講演でござ....
露肆」より 著者:泉鏡花
隠居が、黒い頭巾の中から、隣を振向いて、掠れ掠れ笑って言う。 その隣の露店は、京染|正紺請合とある足袋の裏を白く飜して、ほしほしと並べた三十ぐらいの女房で、中....
両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
前の世から定められていたのでもございましょうか。……私は、『でぱあと』で、新柄の京染や、帯地の陳列を見せて頂き、かえりには、お母さんのお好きな金つばでも買ってあ....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
だ、お久美様の祟りだ!」 フラフラと部屋から外へ出た。 水に螢をあしらった、京染の単衣が着崩れてい、島田髷さえ崩れている。後毛のかかった丸形の顔が、今はゲッ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
ほか、白無垢まで持ち出してしまったので、新調の振袖も、総|刺繍《ぬい》の打掛も、京染の帯も、惜しんでおれなかった。 「これは、二度着たっきり――」 綱手は、甚....
書記官」より 著者:川上眉山
廻しぬ。 豊は碁石の清拭きせよ。利介はそれそれ手水鉢、糸目の椀は土蔵にある。南京染付け蛤皿、それもよしかこれもよしか、光代、光代はどこにいる。光代光代、と呼び....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
込んでいるようなことを言い立てるので、和泉守も彼を信用して、さきには引出物として京染めの素襖と小袖をくれた。近い頃には太刀をくれた。彼が指しほこらしている身分不....
私はかうして死んだ!」より 著者:平林初之輔
聞きましたがほんとうでしょうか?」と私は、私にその話をしてくれた、一軒おいて隣の京染屋のお内儀《かみ》さんにきいてみた。 「妾《わたし》はよく知りませんけれど、....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
せん。よい染の道でありますから、もう一度歴史を高めたいものと思います。 著名な京染の一つに「絞」があります。今も昔の店を守るものがあって、よい仕事を見せます。....