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「人の口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

人の口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
していた。」 太郎は、こういう場合、この酒飲みの、狡猾《こうかつ》な、卑しい老人の口から、こういう昔語りを聞こうとは夢にも思っていなかった。いや、むしろ、この....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
官吏だった、彼の父は多少の貯金の利子を除けば、一年に五百円の恩給に女中とも家族五人の口を餬《のり》して行かなければならなかった。その為には勿論節倹の上にも節倹を....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
、そら松染情史秋七草《しょうせんじょうしあきのななくさ》さ。こんなことは、馬琴大人の口真似《くちまね》をすれば、そのためしさわに多かりでげす。」 憎悪の感情は....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
憶のように朧《おぼろ》げにしかわからない。ただ、すすり上げて泣いている間に、あの人の口髭《くちひげ》が私の耳にさわったと思うと、熱い息と一しょに低い声で、「渡《....
或る女」より 著者:有島武郎
ど告別をしているところだった。付き添いの守《も》りの女が少女を抱き上げて、田川夫人の口びるをその額に受けさしていた。葉子はそんな場面を見せつけられると、他人事《....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
にわか》にやさしくなって、 「お前達に何の訣もないことはお母さんも知ってるがネ、人の口がうるさいから、ただこれから少し気をつけてと云うのです」 色青ざめた母の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
た。輝く電燈の光さえ、凩の対手や空に月一つ、で光景が凄じい。 一言も物いわぬ三人の口は、一度にバアと云って驚かそうと、我がために、はた爾く閉されているように思....
転機」より 著者:伊藤野枝
抜けるごとに、卑劣で臆病な俗衆はいよいよ増長して調子を高める。しかし、たとえ千万人の口にそれが呪咀されていても、私は自身の道に正しく踏み入る事のできたのは、何の....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が悪くて、外へ出られないもんですから、お内へ入ってかくれました。それだし、ただ、人の口の端の串戯だけでも、嫁だなぞと、あなたのお耳へ入ったらどうしようと、私……....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、小親が世における実の品位は神ありて知りたまわむ、うつくしき蒲団に坐る乞食よと、人の口さがなく謂わば言え。 何か苦しかるべき。この姿して、この舞台に立ちて、わ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
わず、するがままにさせておくと、瞬く内に家も地所も人手に渡った。謂うまでもなく四人の口を過ごしかねるようになったので、大根畠に借家して半歳ばかり居食をしたが、見....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
疑者の迷を醒ますに足ると思う。 小櫻姫物語は解説によれば鎌倉時代の一女性がT夫人の口を借り数年に亘って話たるものを淺野和三郎先生が筆記したのである。但し『T夫....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
分な処まで、は、は、は、と口を圧えて笑うと、お絹が根岸の藍川館――鶯谷へ、とこの人の口でいうと、町が嬉しがって、ほう、と微笑んで鳴きそうに聞えた。寂しい処でござ....
活人形」より 著者:泉鏡花
なあ。得たりと医師は膝立直して、水薬を猪口に移し、「さあこれをお飲みなさい。と病人の口の端に持行けば、面を背けて飲まんとせず。手をもて力無げに振払い、「汝、毒薬....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
真理いまだ一定せざるをもって、衆説一致せざるの憂いありといえども、宗教はその説一人の口より出でたるものなれば、衆説相分かるるの恐れなし。これ、宗教の力よく人心民....