人世[語句情報] » 人世

「人世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

人世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小さき者へ」より 著者:有島武郎
母上の死はお前たちの愛をそこまで拡げさすに十分だと思うから私はいうのだ。 十分人世は淋しい。私たちは唯そういって澄ましている事が出来るだろうか。お前達と私とは....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
情婦がないなんて、ほんとに男子《おとこ》の恥辱《はじ》だよ。私が似合わしいのを一人世話してあげようか」 馭者は傲然《ごうぜん》として、 「そんなものは要《い》....
家霊」より 著者:岡本かの子
くめ子は女学校へ通っているうちから、この洞窟のような家は嫌で嫌で仕方がなかった。人世の老耄《ろうもう》者、精力の消費者の食餌療法をするような家の職業には堪えられ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
農家も多く旅舎もある。夕照りうららかな四囲の若葉をその水面に写し、湖心寂然として人世以外に別天地の意味を湛えている。 この小湖には俗な名がついている、俗な名を....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
、老なる問題はどこのすみにも問題になっていない。根底より虚偽な人生、上面ばかりな人世、終焉|常暗な人生…… 予はもの狂わしきまでにこんなことを考えつつ家に帰り....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
の浮世の姿から無上の幸福を作り出す神聖な儀式を行なう口実となった。茶室は寂寞たる人世の荒野における沃地であった。疲れた旅人はここに会して芸術鑑賞という共同の泉か....
雛妓」より 著者:岡本かの子
じさすのであった。更に思い廻らされて来るこれから迎えようとする幾歳かの茫漠とした人世。 水鳥はもう寝たのか、障子の硝子戸を透してみると上野の森は深夜のようであ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
言い終って彼は死んだ。その庫をさがすと、宝物珍品が山のように積まれていて、およそ人世の珍とする物は備わらざるなしという有様であった。名香数|斛、宝剣一|雙、婦女....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
なり泥となってるを見、現に千金を値いする大美術書を足下に踏まえてるを気が付くと、人世無常の感に堪えない。彼処には"Indian Archives"が炭のように焼....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
が当然受くべきものであった」と、彼は愉快そうに結論をくだした。「それに、あなたが人世の苦い経験をかなりに経て来られたことは神様が知っておられますからな。なに、心....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
はこの僕じゃないということになるんだ。僕が、どうして殺るもんか。君は、この女を、人世の虱を――僕が捻り潰したとでも云うのかね」 「いいえ、貴方ですわ」 早苗の....
良夜」より 著者:饗庭篁村
たり、必竟学問を字を習い書を読む上にのみ求めんとせしは我が誤ちなりし、造化至妙の人世という活学校に入りて活字をなすべしと、弱りたる気を自ら皷舞して活発に働きしゆ....
夜光虫」より 著者:織田作之助
―二階を貸してやるというので、これ倖いとついて行ったら、なんと女気なしの針助の一人世帯、ちいと薄気味わるかったけど、今時空間なんて貸してくれる人は、ざらにいるわ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ロバアト同様、繊細で才能に恵まれ、そして野心的であった。彼らは大きな希望を持って人世に出発した。父は、大法官であり――司法職の長でもあった。伯父は女王の下にあっ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ければいけません。これをまず仏教の第一の心得としてあります。そして人間の心には、人世のあらゆることを凌ぎかつ無限に向上せしめて行く力があることを信じます。これが....