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人声
「人声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
―わたしはそう苦笑《くしょう》しながら、そっとそこへ忍び寄りました。実際その時は
人声のするのに、仕事の邪魔《じゃま》を思うよりも、数寄《すき》を凝らした囲いの中....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
に防ぎながら、ふと中西屋《なかにしや》の前を通りかかると、なぜか賑《にぎやか》な
人声と、暖い飲料とが急に恋しくなったので、そこにあったカッフェの一つへ、何気《な....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の場合の君にとっては、一つ一つ見知らぬものばかりのようだった。そこいらから起こる
人声や荷橇の雑音などがぴんぴんとにぎやかな往来を突きぬけて漁師町のほうへ急ぐ。 ....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
取り払った左舷の海や赤い鎌なりの月を眺め出した。あたりは甲板士官の靴の音のほかに
人声も何も聞えなかった。K中尉は幾分か気安さを感じ、やっときょうの海戦中の心もち....
「春昼」より 著者:泉鏡花
と思った。いまだ昼前だのに、――時々牛の鳴くのが入交って――時に笑い興ずるような
人声も、動かない、静かに風に伝わるのであった。 フト耳を澄ましたが、直ぐに出家....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
渡る跫音が、約束通り、とととと、どど、ごろごろと、且つ乱れてそこへ響く。……幽に
人声――女らしいのも、ほほほ、と聞こえると、緋桃がぱッと色に乱れて、夕暮の桜もは....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
「その根際だあ。帽子のふちも、ぐったり、と草臥れた形での、そこに、」 と云った
人声に、葉裏から蛍が飛んだ。が、三ツ五ツ星に紛れて、山際薄く、流が白い。 この....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ろうと、断念めていた婆々が、堪り兼ねてまず物優しく言葉をかけた。 宵から、灯も
人声も、往来の脚も、この前あたりがちょうど切目で、後へ一町、前へ三町、そこにもか....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
境に遊んだり、幻想におちいったりするし、しばしば奇怪なものを見たり、虚空に音楽や
人声を聞くこともある。近隣一帯には伝説は豊富だし、幽霊のでる場所も多いし、うす暗....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
颯と鳴って渡るのです。 ――今でも覚えていますが、日の暮にも夜分にも、ほとんど
人声が聞こえません。足音一つ響かないくらい、それは静なものでした。それで、これが....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
で足も地につきませんや。背後の方でも、前途の方でも、その時分にようようワッという
人声が陰に籠って聞えました。やがて私の身は何の事はない渦いて来る人間の浪の中に巻....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
い。 自分も打坐り込んで、意気地はがあせん、お念仏を唱え出した。 ト珍らしく
人声がして、俥が来たでさ。しかも路が悪いんで、下町の抱車夫にゃあがきが取れなかっ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
に凹を残すのみ、車の轍も遥々と長き一条の名残となった。 おうおうと遠近に呼交す
人声も早や聞えず、辻に彳んで半身に雪を被りながら、揺り落すごとに上衣のひだの黒く....
「活人形」より 著者:泉鏡花
。」 得三は我耳を疑うごとく、耳朶に手をあてて眉を顰めつ、傾聴すれば、たしかに
人声、 「赤城|様――得三|様。」 得三はぎょっとして、四辺を見廻し、人形の被....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
顫えながら、嵌まりにくいシャツの扣鈕を嵌めていると、あっちの方から、鈍い心配気な
人声と、ちゃらちゃらという食器の触れ合う音とが聞える。 「あなた、珈琲が出来まし....