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人情本
「人情本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人情本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
んか。ほんとうに厭よ。貴下浮気なんぞしちゃ、もう、沢山だわ。」 「まるでこりゃ、
人情本の口絵のようだ。何です、対向った、この体裁は。」 三十六 ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
る。それでもまあ「田舎源氏」や何かのうちは好かったのですが、だん/\進んで来て、
人情本などを持ち込むようになる。先ず「娘節用」が序開きで、それから「春色梅ごよみ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
誇るべき意匠とてもない。半蔵はよく町々の絵草紙問屋の前に立って見るが、そこで売る
人情本や、敵打ちの物語や、怪談物なぞを見ると、以前にも増して書物としての形も小さ....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
討物」第五に「お家騒動」第六に「怪談物」第七に「伝奇物」第八に「教訓物」第九に「
人情本」即ち、恋愛小説の類、第十に「戯作物」これらは総て、大衆文芸の中へ含まれて....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
焼饂飩と稲荷鮨 からッ風 納豆と朝湯 歳の市 大晦日 見附と御門 江戸芸者と踊子
人情本と浮世絵 見番と箱屋と継ぎ棹 挿画・江戸川朝歌 (竹久夢二の別名) 江戸....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
得て、貧乏な日本の国庫を富ますに足るほどの文学税を納める事が出来るかも知れない。
人情本を焼き直した芸者文学やジゴマの本を作るものは即ち文学製造業の稽古を始めたの....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
由「強いたって癪の起るような身体つきであるよ、痩せぎすで、歯を噛い〆めて居る処は
人情本にあるようでげす、好い女でげすな、伊香保で運動して居る奥様方や御新造さん方....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
水滸伝、それから御家騒動は版にすることは禁ぜられていたので写し本で貸した。種々な
人情本や三馬《さんば》等の洒落本もあり、春画も持って来るので、彼らはいずれも貸本....
「好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
つけられたので御座います」 「それは何という書物でしたか」 「題は忘れましたが、
人情本らしい体裁で御座いました」 「不思議ですねえ、こんどの事件は古泉堂の古書と....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
しも淫蕩でなくて、その中に極めて詩趣を掬すべき情味があった。今の道徳からいったら
人情本の常套の団円たる妻妾の三曲合奏というような歓楽は顰蹙すべき沙汰の限りだが、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ついて相談して来た。「二つ心」とか「心くずし」とか「新紋形二つ心」とかいうような
人情本臭い題名であって、シカモこの題名の上に二ツ巴の紋を置くとか、あるいは「破れ....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
小説に移らんとし、蒟蒻本《こんにゃくぼん》の軽妙なる写実的小品は漸く順序立ちたる
人情本に変ぜんとするの時なり。正確なる写生によつて浮世絵より音楽的情調を奪ひ去り....
「夏の町」より 著者:永井荷風
及ぼさなかったのだ。黒煙《こくえん》を吐く煉瓦づくりの製造場《せいぞうば》よりも
人情本の文章の方が面白く美しく、乃《すなわ》ち遥に強い印象を与えたがためであろう....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
顔の口元に愛嬌《あいきょう》のある眼尻の上ったお糸との、若い美しい二人の姿をば、
人情本の作者が口絵の意匠でも考えるように、幾度《いくたび》か並べて心の中《うち》....
「春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
名の如く春水が教訓を標榜した草双紙であるが、然し此場合の教訓は誨淫の書といわれる
人情本を勧善懲悪などというよりも名実相副うものであろう。全篇悉くイソップ物語から....