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人界
「人界〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人界の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
苦を受けているものは、恒河沙《ごうがしゃ》の数《かず》より多いかも知れぬ。いや、
人界《にんがい》に生れ出たものは、たといこの島に流されずとも、皆おれと同じように....
「上高地風景保護論」より 著者:小島烏水
かれがたい、欧洲アルプスのマタアホーン山は、日本の槍ヶ岳に類似した峻峰で、久しく
人界から超絶していたが、ゼルマットという登山地点が発見せられ、そこにいい旅館が出....
「富士」より 著者:岡本かの子
ち》の国の天羽槌雄神が作った倭文布《しずり》の帯だけが、ちらりと女神の腰に艶なる
人界の色を彩《あやど》る。 翁はわが子ながら神々しくも美しいと見て取るうち、女....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
で、可怪《あやし》い伝説が少くない。それを越すと隣国への近路《ちかみち》ながら、
人界との境《さかい》を隔《へだ》つ、自然のお関所のように土地の人は思うのである。....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、碧《あお》い空と陽のひかりは滅多《めった》に訪れてこない。私たちはいま、ここが
人界の終点だろうと思うバダジャッカの喇嘛《らま》寺で、いまに現われるという彩光を....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「いかにも三本路がある」 「東へ行けば富士のお山、西へ辿れば本栖の湖、北へ帰れば
人界でございます」 「いや
人界とは面白い。それでは他は魔界かな」 庄三郎は笑い....
「死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
覚えて、後には里の人々を殺しに出たというあの話を。わしは、ちょうど、あのとおりに
人界の鬼となったのだ。そうして、とうとう、そのために、良順を殺すようなことになっ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
た。そのうち四方から宗介様を慕って多くの人間が登山して参ったが、それらはいずれも
人界において妻を奪われ子を殺され財宝を盗まれた不幸の者どもで、下界の人間|総てに....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
った丘に、もみじの中に、昼の月、虚空に澄んで、月天の御堂があった。――幼い私は、
人界の茸を忘れて、草がくれに、偏に世にも美しい人の姿を仰いでいた。 弁当に集っ....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
の一幅の絵画と云うべきでした。黒い森。赤い月。仙人のような白髪の翁。そうして総る
人界の美を一身に集めた稀有の美童。……ハライソという神寂びた声! 夜はもう半ば....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
である。 活ける剣は窟の中で壺皇子を人知れず養育した。皇子の寂寥を慰めるために
人界から人間を連れて来た。その人間は次第に殖え、ここに部落を形成った。 そこで....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ょっと考えてから、「つまり沙漠は文明の墓じゃ。死んだ者ばかり住んでいるところで、
人界でもあることだが仮死の状態の人間をうっかり死んだと誤認して墓に持ってくること....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
つけて、中空の気勢も思われ、茸狩る人の姿も偲ばる。 大体につきてこれを思うに、
人界に触れたる山魅人妖異類のあまた、形を変じ趣をこそ変たれ、あえて三国伝来して人....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
天衣、瓔珞のおん装でなくても、かかる場面へ、だしぬけの振袖は、狐の花嫁よりも、
人界に遠いもののごとく、一層人を驚かす。 従って――郡多津吉も、これに不意を打....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
された目覚めた女の運動には沼南夫人も加わって、夫君を背景としての勢力はオサオサ婦
人界を圧していた。 丁度|巌本善治の明治女学校が創立された時代で、教会の奥に隠....