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人目を避ける
「人目を避ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人目を避けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
はずっと町家《ちょうか》のない土塀《どべい》続きになっていますから、たとい昼でも
人目を避けるには、一番|御誂《おあつら》えの場所なのですが、甚内はわたしを見ても....
「新生」より 著者:島崎藤村
姉)が露領の方から帰国してこの家に居た頃のことを聞いて見ようとする、と直ぐ節子が
人目を避けるために一時この家に居なかったことに思い当る。眼前《めのまえ》に戯れ遊....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ばし》の滝茶屋で駕籠を捨て、小腋《こわき》には袋に入れた木剣をかかえ、編笠越しに
人目を避けるようにして上って行きます。上って二十四丁目の黒門、ここへ来ると鼻の先....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
二六
その夜更け――
湯島切通しの、大きな椎《しい》の樹の下の暗がりに、
人目を避けるように、何か、待ち合せでもしているような振りで、三人の若者が、いずれ....
「旅愁」より 著者:横光利一
今日は侯爵に御招待されてるんですけど、あなたもいらっしゃいません。」
千鶴子は
人目を避ける風に棕櫚竹の葉蔭で声をひそめ矢代に訊ねた。
「しかし、それは――」
....
「蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
風に吹かれて少し気が静まると同時に、自分の身すぼらしい風体に気がついておのずから
人目を避けるような心持ちになり、また一方では内心の苦悩の圧迫に追われて自然に暗い....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
と叫んだが、彼はもう抵抗し得ませんでした。あとの二人の奴は腑甲斐なく道の両側に
人目を避けるように別れて、オドオドした様子をしてついてきました。 往来の人達は....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、誰がいても遠慮なく入って行ったものですが、このごろは、どうしたものか、なるべく
人目を避けるようにして、誰も入っていない時をねらうようにしては、こっそりと、お湯....
「源氏物語」より 著者:紫式部
とであり、自分自身の思い出にも不快さの残ることであろうなどと思って、自他のために
人目を避ける必要を感じ、深い霧に隠れて去って行こうとしたが、魂がもはや空虚になっ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
させ、僧へ物を与えなどして夕方から山荘へはいった。微行とはいっても、これはしいて
人目を避ける必要もないわけで、相当に従者は率いて狩衣姿ではなく、烏帽子直衣姿では....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
恰好をして都中をほっつき歩いていることからして、訝しいとは思わないかい? いくら
人目を避ける変装だからと云ったって、あれは少々極端だ。あいつは確かに気が変になっ....
「アリゾナの女虎」より 著者:牧逸馬
した。ジュッド医師は堪らなくなったらしく、駈け出して行って彼女を抱きしめ、わざと
人目を避けるために、角を曲って、第五街の入口からガレイジへ這入って来た。私は其処....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
。 或日とうとう最後の時が来た。私は父に袂別の辞を述べて家を出たのだ。それから
人目を避ける為めに偽名をして、この路次の奥のささやかな家に世帯を持っているのだ。....
「おせん」より 著者:邦枝完二
くんなさい」 「合点でげす」 おせんの声は、いつになく甲高かった。 四
人目を避けるために、わざと蓙巻を深く垂れた医者駕籠に乗せて、男衆と弟子の二人だけ....
「狂女と犬」より 著者:小酒井不木
お父さんは何でも九州へんの武家の果だそうでしたが、今から十年ほど前に、業病故に、
人目を避けるつもりでこの山奥の村にたどりついて、村はずれに家を建てて住うことにな....