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人込み
「人込み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
人込みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
へ引き揚げたままで荒莚《あらむしろ》を着せてあった。吉五郎はそっと眼をくばると、
人込みのなかに兼松のすがたが見いだされた。市川屋の源蔵もまじっていた。 「御賄屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
屋という生薬屋《きぐすりや》の娘さんでございます」と、勘蔵は答えた。「わたくしが
人込みのなかを逃げて来る途中、丁度あすこで出合ったもんですから、前後の考えもなし....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
と、着物の袂に無造作に投げこんだ。そして嬉しさにワクワクする胸を圧えて、表玄関の
人込みの中を首尾よく脱出したのだった。 こうして私の永く研究していたスポーツは....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
並の往きの人の流れに織り込まれていた。すると同じ頃合いに、逆コースから順コースの
人込みに移ったらしい学生の後姿が五六のまばらの人を距てて、かの女の眼の前にぽっか....
「光の中に」より 著者:金史良
の傍に立ち又人々の中にもいるのだ。二人は相並んで三階まで運んでもらった。そこでも
人込みの間を縫いながら私達は五階か六階かの所まで上って行くと、食堂の一隅に向い合....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
て飛散したに違いあるまい。すると……? すると八十助は、今しがた其処の夜店街の
人込みの中で、旧友鼠谷仙四郎の、幽霊を見たことになる。 「ううッ――」 彼はガ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ごみで逢うことだ。リサは子供っぽい詩と罵ったが今の自分としてはどうしても巴里祭の
人込みの中で、ひょっとしたら十何年目のカテリイヌ――恐らく落魄しているだろうが―....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に不幸なかた……。どうしたということです」と、彼女は低い声を強めて言って、すぐに
人込みのなかに消えて行ってしまいました。 老年の司教がわたしのそばを通りかかり....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
日も相変らず人が一杯で、立っているのも六ツかしいくらい。わたしは仕方なしに後方の
人込みに揉まれて舞台を見ると、ふけおやまが歌を唱っていた。その女形は口の辺に火の....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
雑のあいだを抜けて行くと、美智子は僕をみかえって言った。 「ねえ、兄さん。こんな
人込みの賑やかな中でも、盆燈籠はなんだか寂しいもんですね。」 「そうだなあ。」と....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
けています。その人相や、様子が、きのう聞いた新宿のよい辰ではないかと思いながら、
人込みの間からそっと覗いていますと、その男はもう五十以上でございましょう。なんだ....
「おせん」より 著者:邦枝完二
ちに引ッ込んでるがいい」 松五|郎が親爺を制している隙に、徳太郎の姿は、いつか
人込みの中へ消えていた。 七 「政吉、辰蔵、亀八、分太、梅吉、幸兵衛。―....
「偽刑事」より 著者:川田功
或停車場で電車を降りた。長雨の後冷かに秋が晴れ渡った日であった。
人込みから出るとホームの空気が水晶の様に透明であった。 栗屋君は人波に漂い乍ら....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
こを探したって見出せやしない。 S夫人と私はどっちから誘うともなく仲店に入り、
人込みにもまれながら肩を並べて歩いていた。 観音様の横手の裏通りにはサーカスが....
「三の酉」より 著者:久保田万太郎
やかすぎて…… ――昼間でなくっちゃァいけないという理由は? ――昼間、あの
人込みの中をあるいてると、死んだ父だの母だのが、どこからか、ヒョックリ、でゝでも....