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「仄々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仄々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
の御《おん》姿が、紫磨黄金《しまおうごん》の御《おん》顔や玉の瓔珞《ようらく》を仄々《ほのぼの》と、御現しになっている難有《ありがた》さは、また一層でございまし....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
に、ハッと驚いて眼を覚すと紋太郎は急いで刎ね起きた。雨戸の隙から明けの微茫が蒼く仄々と射している。 その時|使女が障子をあけた。 「もうお目覚めでございますか....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
紋太夫は、思わず歓喜の声を上げ、忙がしく四辺を見廻すと、石畳の外れた跡の穴から、仄々射し込む光に照らされ、朦朧と四方は明るかったが、見れば自分のすぐ側に一人の男....
郷介法師」より 著者:国枝史郎
。眠い眼を渋々こすりながら店へ行って門の戸を明けた。朝靄蒼く立ちこめていて戸外は仄々と薄暗かったが、見れば一本の磔柱が気味の悪い十文字の形をして門の前に立ってい....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ろうともしない。そうして実に不思議なことには、どこからか光が射して来ると見えて、仄々とした薄明が蛍火のように蒼白く、窟内一杯に充ちている。 こうして今の時間に....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
り出した。其後の事は「異譚深山桜」に、次のような文章で記されてある。 「……白光仄々たる一条の路を、僧に従つて走り行けば、十町余にして一天地に出づ。天蒼々と快く....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
固くそう信じて真田屋敷へは住んだのであった。 それは石楠花の桃色の花が木下闇に仄々と浮び、梅の実が枝に熟するという五月雨時のことであったが、或夜何気なく雨の晴....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
まで一丈二尺、腰に三角の隠し狭間、無数の長持が置いてあった。網龕燈が灯っていた。仄々と四辺が煙って見えた。 三人は階段を上って行った。 やがて三人は二重へ這....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
の屋敷の前まで来た。黒板塀がかかっていた。門がピッタリ閉ざされていた。屋根の上に仄々と、綿のようなものが集まっていたがどうやら八重桜の花らしい。 その前で彼ら....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
連れて降って来た。見る見る月影は薄れて行きやがて全く消えてしまった。 雪明りで仄々とわずかに明るい。 この時、多四郎は右の手をまた懐中へ差し込んだが何か確り....
接吻」より 著者:神西清
ったので、またぶらぶらと後へ引返した。…… 彼は川ぶちへ歩み寄った。彼の前には仄々と白っぽく、将軍邸の水浴小屋と、小橋の欄干に掛けてあるシーツが浮んでいた。…....
帯広まで」より 著者:林芙美子
て、或日九太が洋服から写真を出して伊代へ見せた。濃い眉の下に澄み渡った大きい眼が仄々としていた。着物の衿を細く出して、円いあごに陶器のような光線があたっていた。....
河沙魚」より 著者:林芙美子
いえん》で死なせてしまった。いま生きていれば、二十三の娘ざかりである。 与平は仄々《ほのぼの》といい気持ちに酔って来た。やがて隆吉が戻って来るという事が少しも....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
持光寺の石段下に、母の二階借りの家をたずねる。びちょびちょの外便所のそばに夕顔が仄々《ほのぼの》と咲いていた。母は二階の物干で行水《ぎょうずい》をしていた。尾道....
生活」より 著者:林芙美子
一念《そみやいちねん》氏が、よく枯れた花を描かれるけれども、枯れた花の美しさは、仄々《ほのぼの》としていて旅愁がある。女の枯れたのも、こんなに風情があるといいな....