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「仄か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仄かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「鮨」より 著者:岡本かの子
事できないわ」 という。さすがに、それには極く軽い媚びが声に捩れて消える。客は仄かな明るいものを自分の気持ちのなかに点じられて笑う。ともよは、その程度の福ずし....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ちゃ。」 言が途絶えると、音がした、釣瓶の雫が落ちたのである。 差俯向くと、仄かにお妙の足が白い。 「静岡へ参って落着いて、都合が出来ますと、どんな茅屋の軒....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
り、そこに据えられてある一脚の腰かけの上に腰を下して、泰西渡来の鮮やかな花の色と仄かに漂っている香りとに酔っていたが、わが魂はそぞろにとおくなるのを覚えた。 ....
「振動魔」より 著者:海野十三
かりのカナリヤの雛仔を、ソッと吾が掌のうちに握ったような気持、とでも云ったなら、仄かに呉子さんから受ける感じを伝えることができるように思われる。庭の桐の木の葉崩....
「赤外線男」より 著者:海野十三
村探偵に巡りあった。彼は丁度事件で疲れた頭脳を鳥渡やすめに来ていたところだった。仄かに硫黄の香の残っている浴後の膚を懐しみながら、二人きりで冷いビールを酌み交わ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ド・ラ・クーポールの天井や壁から折り返して来るモダンなシャンデリヤの白い光線は、仄かにもまた強烈だった。立て籠めた莨の煙は上から照り澱められ、ちょうど人の立って....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ありながら、しかも首尾に対して根幹の密接な関係があることが感じられる。すればこの仄かな河明りにも、私が曾て憧憬していたあわれにかそけきものの外に、何か確乎とした....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
なって居りますので、お庭には秋草が沢山にしげっていて、芒の白い花がゆう闇のなかに仄かに揺れていたのが、今でもわたくしの眼に残っております。 「町や。」と、奥様は....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うして、しばらく死んだような沈黙が続いた。その間召使が炉に松薪を投げ入れ、室内が仄かり暖まってくると、法水は焔の舌を見やりながら、微かに嘆息した。 「ああ、まる....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
つけ、二人は木の下蔭に囁を交え、手を組んで、短いのと、長いのと、四脚を揃えたのが仄かに見える。お雪は少し離れて立って、身を切裂かるる思いである。 当座の花だ、....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
をした、どこか病的らしい暗黄色の、それでいて、人を食ったような三伝の顔が、いまは仄かに陰火をめぐらす怖ろしげなものになってゆく。そうして、この室には、しんしんと....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
されているのだ。 それが紀州公｜姉川探鯨だったのである。 正史においてすら、仄かではあるけれど、西班牙との密貿易の嫌疑が記されているように、雄志禁じ難い不覊....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
しい開拓であった。「何やら」と概念的に言う外に、表し方の発見せられなかった処に、仄かな生命に動きが見える。これも「しおり」の領分である。歌は早くから「しおり」に....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
其が民族文学の主題であり、一言で言えば品格であった。柳田先生の与えた影響は、かく仄かなものとして過ぎたが、そう言えば、内容にも影響を見る事が出来る。「実をとりて....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
情が溢れて見える。 知らず知らず時が過ぎ去って、樹間を立ち騰る薄煙のあたりに、仄かに輝きそめた夕月が見えたりする。人々は名残惜しい焚火と別れて散り散りに退散す....