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仄暗い
「仄暗い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仄暗いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
吐きはじめ、腰から上をもじもじ廻しはじめた。のみならず、一本芯の洋燈《ランプ》は
仄暗いけれども、その光が、額から頬にかけて流れている所は、キメをいっそう細やかに....
「赤外線男」より 著者:海野十三
、大変天井の低い暗いところへ出た。例の赤外線男が出て来そうな気配だったが、しかし
仄暗いながら電灯がついているから停電でもしない限り先ず大丈夫だろう。 映画検閲....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
吹き下してくると、いったん地面に叩き付けられた雪片が再び舞い上ってきて、たださえ
仄暗い灯の行手を遮るのだった。やがて、凄愴な自然力に戦いている橡の樹林が現われ、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
で、一方は畑になり、一方は宿の囲の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして
仄暗い。 ト、町へたらたら下りの坂道を、つかつかと……わずかに白い門燈を離れた....
「死者の書」より 著者:折口信夫
えているはずである。家に居ては、男を寄せず、耳に男の声も聞かず、男の目を避けて、
仄暗い女部屋に起き臥ししている人である。世間の事は、何一つ聞き知りも、見知りもせ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
法の不思議にある――と云い出した。そして、眼を瞑じ珠数を爪繰って語り出したのは、
仄暗い霧の彼方で暈と燃え上った、異様な鬼火だったのだ。 ――三月晦日の夜、月が....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
なく夜の街路《まち》を歩き廻った。僅かの友達をもなるべく避けるようにした。そして
仄暗い裏通りを首垂れながら歩いている自分の孤影を見出しては、憂鬱な気分が益々濃く....
「見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
はない、彼は被害者の姿までも見えなくしおった!」 アンガスは木偶の坊の立並んだ
仄暗い室内を見まわした。戦慄が起った。等身大の人形の一つがそれはおそらく被害者が....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
れが遺骸だとすれば)小岳の小さな墓地に今日まで葬られてあるわけだ。師父ブラウンが
仄暗い樹苑を通って城影の下に来た時、空には厚雲がかぶさり、大気は湿っぽく雷鳴が催....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
鳴って、一瞬底気味わるい静寂が、天地を領した。と、たちまち眼の前の、ぼーっとした
仄暗い空を切り裂いて、青光りのする稲妻が、二条ほどのジグザグを、竪にえがいた。殷....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ある。 まこと、その二つのものは、冷たい海の上に現われた幻のように、それとも、
仄暗い影絵としか思えないのだった。 しかし、味方は巧妙に舟を操って、あるいは水....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
れて、点灯夫がそれを下し、火を点じて、また吊し上げると、弱い光を放っている数多の
仄暗い灯心が、病みほうけたように頭上で揺れ動いて、あたかも海上にあるようであった....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
金泥を拾い上げたのみの事だった。そうして調査が、赭岩ばかりで出来た海底のように、
仄暗い階下から離れて、階段の上に移された。 然し、階段の中途まで来ると、さしも....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
お品は夢見心地で、闇の中を独りで遠去かって行く空の炭車を、その枠の尻にブラ下げた
仄暗い、揺れ続ける安全燈を見たのであった。 全くそれは夢見心地であった。あとに....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
の森も屋根も、市街はしっとりと露を打って、みはらしの樹の間の人影は、毛氈とともに
仄暗い。 いま振袖の指した、丘の一つが白かった。 「図々しいじゃあないの、(狐....