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仄聞
「仄聞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
仄聞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
私があたりまえの男に立ちかえって呉れるよう神かけて祈って居るというふうの噂話を、
仄聞《そくぶん》することがあるのである。けれども、私は、弁解しない。いまこそ血の....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
場に於ける助手たちの厚化粧は見るに忍びざるものあり、かくては、参政権も泣きます、
仄聞するに、アメリカ進駐軍も、口紅毒々しき婦人を以てプロステチュウトと誤断すとい....
「花吹雪」より 著者:太宰治
顔面は赤銅色に輝き腕の太さは松の大木の如く、近所の質屋の猛犬を蹴殺したとかの噂も
仄聞致し居り、甚だ薄気味わるく御座候えば、老生はこの人物に対しては露骨に軽侮の色....
「野狐」より 著者:田中英光
大変だ。 また彼女の過去に、そのような事件があるのを私は度々、目撃しているし、
仄聞したこともある。それ故、私は姉よりも強固に、彼女をひきとめ、その夜、一緒に寝....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
給せざるがために、やむことをえずして為したのである。既にして保は慶応義塾の学風を
仄聞し、頗る福沢諭吉に傾倒した。明治九年に国学者|阿波の人某が、福沢の著す所の『....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
に行って来る」と称して飄然として下宿を出でそのまま行衛を晦ましたとの事であるが、
仄聞するところに依れば窃かに九大精神病科の自室に引返し徹宵書類を整理していたとも....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
、芝浦方面に出動せる趣なれば、有力なる手がかりを保留しおるべき事推測に難からず。
仄聞するところに依れば団長B・ストーン氏は目下早慶二大学と野球試合のため来朝しお....
「ヒューマニズムへの道」より 著者:宮本百合子
が、それ以前には組合の仕事、つまり当時の政治的な組織の活動をやっておられたように
仄聞《そくぶん》している。獄中生活で健康を害し執行停止され、現在は作家の活動をさ....
「文芸時評」より 著者:宮本百合子
ナリズムにそのような弱いところがなかったならば同氏によって『文芸』に推薦されたと
仄聞《そくぶん》する勝野金政の小説などは、烏滸《おこ》がましくも小説として世間に....
「鬼畜の言葉」より 著者:宮本百合子
、賃銀を労働者一人の能率払いにせよ、と書いている。(五月九日) 『中央公論』は、
仄聞するところによると十万の出版部数をもっているそうだ。『中央公論』をよむ人はま....
「それに偽りがないならば」より 著者:宮本百合子
尋問をはじめる、こうすれば証人尋問を有利にすすめることができるというようなことを
仄聞している。かりにこれが事実とすれば、われわれは相当証拠があるのでありますが、....
「魔都」より 著者:久生十蘭
鶴が鳴くというのは一体何から割り出したものか元より作者などの知ろう筈はない。が、
仄聞するところに依れば、幸田節三は四五日以前に一升壜を携げて例の奇人的理学者兼清....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
一夫君なども私同様の孤児であるとか聞いているが、同君の恋愛観など親近の人たちから
仄聞《そくぶん》すると、よほど私の抱有しているものに酷似していてはなはだ思い半ば....
「三国志」より 著者:吉川英治
蒋幹を逆に用いて、蔡瑁、張允を除いたことは、周都督として、まことに大成功でした。
仄聞するに、曹操は二人の亡きあとへ、毛※も于禁も船軍の大将という器ではありません....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
盆という厄介なもので、滅多に鵜呑みにすると、苺と思って石を噛むことが少なくない。
仄聞するところに依ると、大兄は拙作の小説宮本武蔵のうちに出した本位田又八という人....