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今しも
「今しも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今しもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ないような幻ではございます。が、その宙を踏んで飛舞《ひぶ》する容子《ようす》は、
今しも摩利信乃法師《まりしのほうし》の脳上へ、一杵《いっしょ》を加えるかと思うほ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
方ならず気に懸る。 ああ、先生には言われぬ事、奥方には遠慮をすべき事にしても、
今しも原の前で、お妙さんを見懸けた時、声を懸けて呼び留めて、もし河野の話が出たら....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
を見た僕はハッと胸を衝かれたように感じた。これは何ごとであろうか、土窟の方から、
今しも大時代な提灯の灯が三つ四つ、暗闇の中にブラリブラリと揺れながら、こっちへや....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
お茶の水寄りの一角に、「戸波研究所」と青銅製の門標のかかった大きな建物があった。
今しも、そこの扉が、外に開いて、背の高い若い男が姿を現わした。 「此の辺一帯は、....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
と思ったか、急に足を停め、くるりと後をふりかえった。 彼の、どんよりした眼は、
今しも出てきた厳しい監獄の大鉄門のうえに、しばし釘づけになった。 そのうちに、....
「怪塔王」より 著者:海野十三
りした光を放っています。 このとき、博士の目がきらりと光りました。博士の目は、
今しも岩根につかまって、下りることに夢中になっている帆村の上に、じっととまってい....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
ます。日本人いれることなりましぇん。さあ、おかえりなさい、はやくおかえりなさい」
今しも、二人づれの兄妹らしい日本人の少年少女が、入口の受付で、仁王さまのように大....
「空襲警報」より 著者:海野十三
行場には、防空飛行隊に属する諸機が、闇のなかに、キチンと鼻をそろえて並んでいた。
今しも三機の偵察機が、白線の滑走路にそい、戦闘機の前をすりぬけるようにして、爆音....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
近藤に嫁がざりし以前には、謙三郎の用ありて、お通に見えんと欲することあるごとに、
今しも渠がなしたるごとく、籠の中なる琵琶を呼びて、しかく口笛を鳴すとともに、琵琶....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
染まって、枕に乱れた鬢の毛も、寝汗にしとど濡れたれば、襟白粉も水の薫、身はただ、
今しも藻屑の中を浮び出でたかの思がする。 まだ身体がふらふらして、床の途中にあ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のでございましょう、産土の神様の御眷族が丁度神主のような姿をしてその場に現われ、
今しも断崖から飛び込まうとする女房の前に両手を拡げて立ちはだかったのでございます....
「薬」より 著者:井上紅梅
隊は一大群衆に囲まれつつたちまち眼の前を過ぎ去った。あすこの三つ二つ、三つ二つは
今しも大きな塊りとなって潮のように前に押寄せ、丁字街の口もとまで行くと、突然立ち....
「墓」より 著者:秋田滋
である。 一人の曲者が、前の日にそこへ埋葬された妙齢の婦人の死体を掘り出して、
今しもそれを墓穴から引ッぱり出そうとしているのだった。小形の龕燈が一つ、掘り返し....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
と夢路を辿る。 十六日前四時、目をこすりながら屋外に這い出して、東方を見ると、
今しも常念は、ほんのりとした茜色の曙光を負いて、独特のピラミッド形を前山の上に突....
「活人形」より 著者:泉鏡花
知らぬ男なれば、銀平はそのまま歩を移しぬ。これぞ倉瀬泰助が、悪僕八蔵を打倒して、
今しもここに来れるなりき。 泰助は昼来て要害を見知りたれば、その足にて直ぐと赤....