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今一
「今一〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今一の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
も忘れたように、飾り窓の前を飛び出した。人通りも疎《まばら》な往来には、ちょうど
今一台の人力車《じんりきしゃ》が、大通りをこちらへ切れようとしている。――その楫....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
はじっと宇左衛門の顔を見ながら、一句一句、重みを量《はか》るように、「その前に、
今一度出仕して、西丸の大御所様(吉宗)へ、御目通りがしたい。どうじゃ。十五日に、....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
まわった頃仁右衛門の畑に二人の男がやって来た。一人は昨夜事務所にいた帳場だった。
今一人は仁右衛門の縁者という川森|爺《じい》さんだった。眼をしょぼしょぼさせた一....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
残念でならぬ。僕は民子が嫁にゆこうがゆくまいが、ただ民子に逢いさえせばよいのだ。
今一目逢いたかった……次から次と果てしなく思いは溢れてくる。しかし母にそういうこ....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
えた時はあたかも九時であった。負傷した人もできた。一回に恐れて逃げた人もできた。
今一回は実に難事となった。某氏の激励至らざるなく、それでようやく欠員の補充もでき....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
定に従えば、雰囲気の高さは二八・九キロメートルということになる。なぜかと言えば、
今一キログラムの水が一キロメートルの高さから落ちるとすればその温度はすなわち二・....
「春昼」より 著者:泉鏡花
言うにこそ、へつらいがましい、お坊ちゃまは不見識の行止り、申さば器量を下げた話。
今一方からは、右の土器殿にも小恥かしい次第でな。他人のしんせつで手柄をしたような....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
有名な男で、「おはよ/\の――で御座いかな」という言葉が流行った位だ。 売声で
今一つ明治前に名高かったのは、十軒店の治郎公というのが、稲荷鮨を夜売り歩いた。こ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
は云う。 男衆はまた笑った。 「ですとも。それを知らん顔で、しらばっくれて、唯
今一見という顔をなさるから、はぐらかして上げましたんでさ。」 「だって、住吉、天....
「墓」より 著者:秋田滋
面影は認められるであろう。わたくしにはそんな気がいたしました。そして、わたくしは
今一たび彼女の肉体を見ようと思ったのであります。 わたくしは鋤と提燈と槌をもっ....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
な不幸にあって、すっかり貧乏になり、たくさんなお金を払わねばならなかったので母は
今一度お金持の家に奉公してお金をもうけ一家が暮せるようにしたいがためでありました....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
めているらしいが、予は決してそれを悪いとは云わねど、此の如き事に熱心なる人々に、
今一歩考を進められたき希望に堪えないのである、 単に美食の娯楽を満足せしむること....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
うのでその気苦労は一方ならなかった。かくてともかくにポストの三めぐりが済むとなお
今一度と慥めるために、ポストの方を振り返って見る。即ちこれ程の手数を経なければ、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
被、そればかりは威勢が可いが、かれこれ七十にもなろうという、十筋右衛門が向顱巻。
今一|人、唐縮緬の帯をお太鼓に結んで、人柄な高島田、風呂敷包を小脇に抱えて、後前....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
を殺すことが出来よう。そんな事は全然不可能ではないか。 こう思って見ていると、
今一秒時間の後に、何か非常な恐ろしい事が出来なくてはならないようである。しかしそ....