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「今一つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

今一つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
すからね、よく薬を飲むんですよ。」 母はかすかに頷《うなず》いた。 「じゃただ今一つ召し上って御覧なさいまし。」 枕もとに来ていた看護婦は器用にお律の唇《く....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
の女を突き放って今夜もだめだとあきらめた。 「もう一つあげましょうか?」かの女は今一つ持っていた林檎を出した。 「………」僕は黙ってそれを奪い取ってから、つかつ....
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
るために兄さんがおっしゃるとおり十時半|神宮外苑の入口へ行っていると書いてあり、今一つはみどりの父からの手紙で、例によって子供たちの学資補助を仰いで恐縮であると....
空中墳墓」より 著者:海野十三
形の天井が徐々に左右へ割れ、月光が魔法使いの眼光でもあるかのように鋭くさしこむ。今一つのハンドルを廻すと、囂々たる音響と共に、この大きな半球型の天井が徐々にまわ....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
先刻返事をしてくれなかったことがあったね。この二つの寝床の一つは君が寝ていたが、今一つには誰が寝ていたか。それはナンバー・ワンの女給ゆかりの布団なんだろうが、入....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
し、海拉爾、満州里方面に進撃せんとす。終り」 別府司令官は、静かに肯いた。 「今一つは、極東軍の報告であります」有馬参謀長は、もう一枚の紙を、とりあげた。「仙....
河明り」より 著者:岡本かの子
務室の上だから、私の部屋からは知れないようなものの、少くとも河に面した方の二階の今一つの空部屋は私が半日ずつ住むこの部屋のすぐ頭の上だから、いかに床の層が厚くて....
三十年後の世界」より 著者:海野十三
と寄《よ》っていった。すると博士は、気がついて正吉を手招きした。 「おい君、私は今一つ、発見したよ。このハンカチーフの主――つまり君のおじさんの毛利博士は、少な....
海底都市」より 著者:海野十三
ているひまはないが、とにかくわしは君に保証する。いいかねその深い事情が実にうまく今一つの機会を作っていて、君と妻君が会うに、今が絶好の機会なんだ。君の妻君は君を....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
有名な男で、「おはよ/\の――で御座いかな」という言葉が流行った位だ。 売声で今一つ明治前に名高かったのは、十軒店の治郎公というのが、稲荷鮨を夜売り歩いた。こ....
秋の筑波山」より 著者:大町桂月
二つの不思議あり。卿之を知れりや。曰く、其一は太田三楽ならむ。曰く、然り。曰く、今一つは思ひうかばず。曰く、矢張り太田三楽也。我等の如き者でも、天下を取れるに、....
兄妹」より 著者:岡本かの子
―君。ちょっと休んで行こうよ。 兄は道路からすこし入った疎林の樹の根に腰かけて今一つの樹の切り株を妹に指し示した。妹は素直にハンカチを敷いて坐った。兄は袂から....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
した。それゆえに、図らずも多くの材料を得て、これらの書類を買い入れて参りました。今一つはマジナイの一種であります。これもずいぶんたくさん集めてありますが、今その....
迷信解」より 著者:井上円了
て行け』といわれたれば、恐れ入りたる気色にてつれて帰るを覚えおる』といえり」また今一つの話は、「下総の国山梨村大竜寺の長老、ある年|江湖を開きたるに、少し法門の....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
いうような音がする。フレンチは気の遠くなるのを覚えた。髪の毛の焦げるような臭と、今一つ何だか分からない臭とがする。体が顫え罷んだ。 「待て。」 白い姿は動かな....