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「今切〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

今切の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
人のように威丈高《いたけだか》にのそりのそりと道を歩いた。人々は振返って自然から今切り取ったばかりのようなこの男を見送った。 やがて彼れは松川の屋敷に這入って....
根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
いけ》の嬢様《じょうさん》と一緒になろうなんかッてえのは間違っている……こりゃア今切れた方が先方様《さきさま》のお為と思ったもんだからね、鳶頭の言うなり次第にな....
坑夫」より 著者:夏目漱石
放《ぱなし》にして済ませられるなら、思い切って、嘘を吐く事にしたろうが、とにかく今切符を買うと云う間際《まぎわ》で、吐けばすぐ露現《ろけん》してしまうんだから始....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
「ナ、何をするのです。何をするのです」 と叫びました。 「エエ。お放し下さい。今切らなければ鉄になりますぞ。紅矢様は鉄になってしまいますぞ。ハ……放して下さい....
長篠合戦」より 著者:菊池寛
て、高天神城を開城せしめた。家康は、わずか十里の浜松にありながら後詰せず、信長は今切の渡まで来たが、落城と聞いて引き返した。 勝頼の意気軒昂たるものがあったで....
小田原陣」より 著者:菊池寛
軍の諸将、即ち長曾我部元親、加藤|嘉明、九鬼嘉隆等も各々その精鋭をすぐって、遠州今切港や清水港に投錨して居るのだから、小田原城は丁度三面包囲を受ける形勢にある。....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
その必然の連絡とが、わしの心の眼に見えようとしている、魂をつないでいた見えぬ鎖が今切れようとしている。打ちかちがたくあきらめられていた地上の法則が滅亡して、魂は....
のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
いった。 二百メートルばかり歩いたところで、通路は行き停りとなる。そこで私は、今切り取ったばかりのような土の壁を、ととんとんと叩いた。すると、ぎーいと音がして....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
紙へその大蜘蛛の姿を墨で描いて、鋏で切り抜くのであった。切り抜いてみると、自分で今切り抜いた筈のその絵の蜘蛛が、心もち悪くて自分で掴めない位なものである。それを....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
くから、どう我慢がなるものか! うっかり謡をうたいそうで危くってならないからね、今切は越せません。これから大泉原、員弁、阿下岐をかけて、大垣街道。岐阜へ出たら飛....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
必要な時代は、明治になってからも全く久しぶりだと云わざるを得ない。啓蒙の必要を昨今切実に感じている人は、啓蒙という言葉の大体の意味を、すでに日常的に理解している....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
折、船も旅籠屋と同様、借切りで、同船の者は許さないことであった、これより先遠州の今切《いまぎれ》でも、一里の間船で渡ったのであったが、この時も一艘借切った。する....
獄中消息」より 著者:大杉栄
い。伸も今のままで置くことはできぬ。どこかその希望する専門学校に遣るか、あるいは今切に望んでいる米国行きを実行さすか、いずれかにしたい。勇も今の学校を終ってすぐ....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
ていた。膝からかけて駕籠一面飛び散った血で紅斑々、呼息を刻む肩の揺れ、腹はたった今切ったと見える。 「無念」 と融川は首を上げた。下唇に鮮やかに五枚の歯形が着....
水の遍路」より 著者:佐藤垢石
したこともあった。焼津の朝日奈川でも、鮎を釣った。 遠州の舞阪と、新居をつなぐ今切の東海道線鉄橋下で、浜名湖の淡水を求めて遡ってくる黒鯛釣りに興じたのも記憶に....