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今時分
「今時分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今時分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文放古」より 著者:芥川竜之介
やっと徳富蘆花《とくとみろか》程度なのね。きのうも女学校の時のお友達に会ったら、
今時分やっと有島武郎《ありしまたけお》を発見した話をするんじゃないの? そりゃあ....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
っしゃ》いますには、
「私《わたくし》はあなたのおかげで命拾いをしましたが、妹は
今時分どこでどんな目に逢《あ》って居りましょう。」
髪長彦はこれを聞くと、また....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
旅の者だ。だからお前に縄《なわ》をかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、
今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
「そうかも知れません。しかし犠《いけにえ》になると云う事がなかったら、あなたは
今時分たった一人、こんな所に来てはいないでしょう。して見ると神々の思召しは、あな....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
だ。」と尋ねますと、相手は例のごとく澄ましたもので、「もう一日辛抱し給え。明日の
今時分までにゃ、きっと君にも知らせられるだろうと思うから。――まあ、そんなに急が....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
干に眠れるはこれ余人ならず、例の乗り合い馬車の馭者《ぎょしゃ》なり。 「どうして
今時分こんなところにねえ」 渠は跫音《あしおと》を忍びて、再び男に寄り添いつつ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
|近の男の……肺病とは一目で分る……襟垢がぴかぴかした、閉糸の断れた、寝ン寝子を
今時分。 藁草履を引摺って、勢の無さは埃も得立てず、地の底に滅入込むようにして....
「妖術」より 著者:泉鏡花
れば、薄い駒下駄に紺蛇目傘も肖わない。が、それは天気模様で、まあ分る。けれども、
今時分、扇子は余りお儀式過ぎる。……踊の稽古の帰途なら、相応したのがあろうものを....
「海異記」より 著者:泉鏡花
藁かけた島田が似合おう、女房は子持ちながら、年紀はまだ二十二三。 去年ちょうど
今時分、秋のはじめが初産で、お浜といえば砂さえ、敷妙の一粒種。日あたりの納戸に据....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ずば、うまい酒にもありつけぬ処だったちゅうものだ。――嬢様が手本だよ。はってな、
今時分、真暗だ。舐殺されはしねえだかん、待ちろ。(と抜足で寄って、小屋の戸の隙間....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
えますとも!」 仁右衛門の後を打ちながら、 「その人が、 (爺様、この里では、
今時分手毬をつくか。) (何でね?) (小児たちが、優しい声、懐しい節で唄うてい....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
可ねえんだ、銭金ずくじゃないんだってよ。何でも石滝って処を奥へ蹈込むと、ちょうど
今時分咲いてる花で、きっとあるんだそうだけれど、そこがまた大変な処でね、天窓が石....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、翼に手をかけ抱いたのは、お夏が撰んで名をつけた、蔵人という飼鶏である。 「何故
今時分|啼くんだね、」と人にものを謂うような、されば宵の一声にお夏が忙わしく立っ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
丁も添えてあったが、美術家の目にはそれも入らず。 店には誰も居なかった。昨日の
今時分は、ここで柿の皮を剥いて食べた、正午まわりを帰り路の、真赤な荷をおろした豆....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ゃあねえか。ぼんやり往来を見ていたって、何も落して行く奴アありやしねえよ。しかも
今時分、よしんば落して行った処にしろ、お前何だ、拾って店へ並べておきゃ札をつけて....