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今茲
「今茲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
今茲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
は、以前この家に間借をしていたことのあるその良人が、田舎へ転任してから、七年目の
今茲《ことし》の夏、遽《にわか》に病死してしまった。
東北|訛《なまり》のその....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
伝いに茲へ来て、爾して此の窓から入りました」成るほど窓から入られぬ事はない、余「
今茲で貴女と話をして居たのは誰ですか」お浦「誰も話などは仕て居ませんよ、ああ分っ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
部屋の様子を、じろじろ見廻していた。 奥から二男の糺も、繁三も起き出して来た。
今茲十九になる糺はむずかしい顔をして、白地の寝衣の腕を捲りあげながら、二十二、三....
「爛」より 著者:徳田秋声
絶望の顔が浮んで来た。ついこのごろよそから連れ込んで来て、細君に育てさしている、
今茲四つになる女の子のことも、気にかかりだした。髪なども振り散らかしたままで、知....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
も掛けも勘定万端を早ァくにすませ、朝でなくとも熱いピリリとする奴に一風呂入って、
今茲の垢をも綺麗さっぱり、アア正月が待ち遠しいとは自慢でばかりは言わぬ。 され....
「科学論」より 著者:戸坂潤
デオロギーの切断面を異にしている。科学は研究。 * ジャーナリズムの意義に就いて
今茲に述べる余裕のないのは残念である。ジャーナリズムの観念程今日鈍重に機械的にし....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
概念を求めるならば、恐らく夫は何とでも云えることである。併し何時も大事なことは、
今茲で何が問題になっているか、である。この問題が、そこに問題になっている概念の形....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
出来ないだろう。之が、ただ言葉が共通だというだけなら全く偶然なことに過ぎなくて、
今茲に問題にするに足りないわけだ。共通感覚が内部的だという点で以て初めて、アリス....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
識の勃興かが、見出される。どうして進歩の線はこのような結節点を持つか、その原因は
今茲で述べるまでもない。少なくともそういうのが事実である。旧意識の行きづまりや新....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
)であるかは、どの国粋哲学・どの精神哲学・の体系を取って見ても、すぐ判ることで、
今茲に一々取り立てて述べる必要はないと思うが、その最も端的な症状の一つとしては、....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
使用をさえ禁止したい意向をもらしていると伝えられる。――この行政方針の良否を私は
今茲で問題にするのではないが、少なくともこういう大勢は朝鮮文化の否定へ導き、その....
「辞典」より 著者:戸坂潤
対化すること自身が、形而上学的だったのだ、というのである。 ヘーゲルの弁証法を
今茲に詳しく説明していることは出来ない。併し注目すべきは、多くのヘーゲル主義的論....
「範疇としての空間に就いて」より 著者:戸坂潤
い、併し関係の項が存在すると同じ意味に於て存在するのではない、ということである。
今茲に可能である二つの場合は、この関係そのものが何の特殊の存在をも有つのではなく....
「性格としての空間」より 著者:戸坂潤
断の還元性にはどれ程の権限があるのか。 判断という言葉がすでに多義である。私は
今茲で用いようと思う意味をとり出すために之を区別して見る必要がある。直ちに人々の....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
私は小さき胸にはりさけるような悲哀を押しかくして、ひそかに薄命な母を惨んだ、私は
今茲十八歳だけれども、私の顔を見た者は誰でも二十五六歳だろうという。 「君怒った....