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「今頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

今頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おぎん」より 著者:芥川竜之介
の墓原の松のかげに、眠っていらっしゃる御両親は、天主のおん教も御存知なし、きっと今頃はいんへるのに、お堕《お》ちになっていらっしゃいましょう。それを今わたし一人....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
たのだろう? もっとも向うの身になって見れば、母一人が患者《かんじゃ》ではなし、今頃はまだ便々《べんべん》と、回診《かいしん》か何かをしているかも知れない。いや....
少年」より 著者:芥川竜之介
ェの隅にこの小事件を思い出した。あの肥《ふと》った宣教師はもう電燈もともり出した今頃、何をしていることであろう? クリストと誕生日を共にした少女は夕飯《ゆうはん....
将軍」より 著者:芥川竜之介
から、わしたちについて来た学生たちが、場所を探しに行ってくれた所じゃ。」ちょうど今頃、――もう路ばたに毬栗《いがぐり》などが、転がっている時分だった。 少将は....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ぶった、背の高いHだった。 「海蛇か? 海蛇はほんとうにこの海にもいるさ。」 「今頃もか?」 「何、滅多《めった》にゃいないんだ。」 僕等は四人とも笑い出した....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
》な小屋の中を手さぐりで妻を尋ねた。眼をさまして起きかえった妻の気配がした。 「今頃まで何所《どこ》さいただ。馬は村の衆が連れて帰ったに。傷《いたわ》しい事べお....
婦系図」より 著者:泉鏡花
に帰りますから、」 「そう目前が利かないから、お茶を挽くのよ。当節は女学生でも、今頃は内には居ない。ちっと日比谷へでも出かけるが可い。」 「憚様、お座敷は宵の口....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
の――小村さんが用心に蔓を圧えた――灯が一煽、山気が颯と座に沁みた。 「一昨晩の今頃は、二かさも三かさも大い、真円いお月様が、あの正面へお出なさいましてございま....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、米八、仇吉の声じゃないな。彼女等には梅柳というのが春だ。夏やせをする質だから、今頃は出あるかねえ。」 「頼むと申す……」 「何ものだ。」 と、いきなり段の口....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、お止しなさい。」 とさも一生懸命。圧えぬばかりに引留めて、 「あんなものは、今頃何に化っているか分りませんよ、よう、ですから、銑さん。」 「じゃ止します、止....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
引摺って、――まだ内弟子の小僧ゆえ、身分ではござりませんから羽織も着ませず……唯今頃はな、つんつるてんの、裾のまき上った手織縞か何かで陰気な顔を、がっくりがっく....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
麓に一軒の家を持っている。その家を畑ごとお前にやるから、早速行って住まうが好い。今頃は丁度家のまわりに、桃の花が一面に咲いているだろう」と、さも愉快そうにつけ加えました。....
近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
据えて、死身に修業をしなければなるまい。 近藤君に始めて会ったのは、丁度去年の今頃である。君はその時神経衰弱とか号して甚意気が昂らなかった。が、殆丸太のような....
初雪」より 著者:秋田滋
ではなく、二度と再び春にめぐり遇えると思っているのでもなかった。一年たった来年の今頃ともなれば、自分の前をいま歩いてゆく同じ人たちが、南国のあたたかい空気を慕っ....
活人形」より 著者:泉鏡花
平は頷きて、「へい宜しゅうございます。下枝様がああいう扮装のまま飛出したのなら、今頃は鎌倉中の評判になってるに違いありません。何をいおうと狂気にして引張って参り....