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「仏前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

仏前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
さえもあるらしい。 ――無理に短うしたで、病が起ったのかも知れぬ。 内供は、仏前に香花《こうげ》を供《そな》えるような恭《うやうや》しい手つきで、鼻を抑えな....
捨児」より 著者:芥川竜之介
好《い》い年をした門番が、捨児《すてご》のあった事を知らせに来たそうです。すると仏前に向っていた和尚《おしょう》は、ほとんど門番の方も振り返らずに、「そうか。で....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
去った。 「仏さま、御免ください。少々お邪魔をいたします」 こう云って、半七は仏前の香炉、花瓶、そのほかの仏具を一々|検《あらた》めたが、やがて小声で松吉に云....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
近所のお国という女が参詣に来た。 ここでお国をおどろかしたのは、一人の若い男が仏前に倒れ苦しんでいることであった。男は口からおびただしい血を吐いて、虫の息で倒....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七がぶらりと来た。 「おれは御法事に呼ばれて来たわけじゃあねえが、これはまあ御仏前に供えてくれ」と、かれは菓子の折を出した。「そこで、今夜は紋七も来るんだろう....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
とつこの莽草の樹の用途なんだがね……こいつが実に面白いんだ……と言うのは、昔から仏前用として墓地に植えたり、又地方に依っては、その枝葉を、棺桶の中へ死人と一緒に....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、その寺に住職と二人の徒弟が住んでいたが、いずれもぼんやりした者どもで、わずかに仏前に香火を供うるのほかには能がないように見られた。 しかも彼等はなかなかの曲....
春昼」より 著者:泉鏡花
音に立った。が、春の日なれば人よりも軽く、そよそよと空を吹くのである。 出家は仏前の燈明をちょっと見て、 「さればでござって。…… 実は先刻お話申した、ふと....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
尼のところへからかいにいくと、尼は堂の扉をかたく鎖ざして入れなかった。そうして、仏前にむかって高い朗かな声で経をよみ始めた。その威厳におびやかされて不埒者の群れ....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
てある。その板戸の隙間からのぞくと、まだ三十を越えまいかと思われる一人の若い僧が仏前で経を読んでいるらしく、炉には消えかかった柴の火が弱く燃えていた。 戸をた....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
にしてやろう』 源兵衛『そういう声は、父者の声』 おさき『親が許して夫婦の盃、御仏前でさすほどに、おくみ坊も早う、こなたへ入るがよいぞや』 (裏の背戸開く) お....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
いる。 「それはそれは。」 と頷いて、 「また、今のほどは、御丁寧に――早速御仏前へお料具を申そう。――御子息、それならば、お静に。……ああ、上のその木戸はの....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
のあたりの寺子屋で、武家も、町家も、妙齢の娘たちが、綺麗な縮緬の細工ものを、神前仏前へ奉献する習慣があって、裁縫の練習なり、それに手習のよく出来る祈願だったと言....
子供の霊」より 著者:岡崎雪声
なかったが、堅く止められたのであった。ところが二三日|後、よく主顧にしていた、大仏前の智積院という寺へ、用が出来たので、例の如く、私は書籍を背負って行った。住職....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
わが涙凝つて流れず塚の霜 その帰途、青山通りの造花屋にて白菊一枝を買い来りて仏前にささぐ。まことの花にては、その散り際にまたもや亡き人の死を思い出ずるを恐れ....